掲載日:2025年8月5日
講座の記録
講座名 | : | 生活クラブカッレジ2025 第1回 わたしたちが生きたい社会はわたしたちがつくる ~意思決定の場に若者・女性の代表を~ | |
講師 | : | 能條 桃子 さん(NO YOUTH NO JAPAN代表理事) | |
開催日 | : | 2025年6月14日 (土) |
始めに、現在の活動を始めるきっかけとなった事柄を、小学校や高校・大学と順を追って話された。
小学6年生の時に、当時住んでいた平塚市の「青少年会議」という取り組みで、「青少年議員」として自分たちの困りごとを市長(当時:大藏律子さん)に直接投げかける体験を通して、「自分たちの困っていることを表明できる場がある」という事を始めて知り、また、ご自身のお母さまが専業主婦という事もあり、女性の職業といえば学校の先生か保育士ぐらいしか認識していなかったところに大藏市長の姿を見て、女性も「政治家」になれるという事を知ったこと。
進学した高校で「生まれた時点でその後の人生が大体決まっている」という教育格差を知り、進学校であったが、生徒は自己肯定感の低さや自殺問題・やりたいことがない、子は親の投機対象のよう、など精神的な幸福度が高いとは言えないことを知ったこと。
大学で男女のジェンダーギャップに直面し、2年で選挙のインターンを体験した時に大人と若者はお互いに相手を遠ざけていると感じたこと。そして、デンマークの若者投票率が80%という事を知り留学を決意。
デンマークでは、選挙の候補者も候補者を支える人も若い。女性が首相になってもニュースにならない。首相になった議員は、任期後は次の人にバトンタッチして議員はやめる、等日本とは全く違う。そこで学んだことは「生活形式のデモクラシー」。学校の授業や職場環境の改善など、自分たちの所属しているコミュニティは自分たちで良くしていくという事。社会として、どんな子供・若者を育てるかという事が、日本では「勤勉な労働者」に対して、デンマークでは「民主主義の担い手」。
もうひとつの活動FIFTYS PROJECTは、地方議会のジェンダー平等の為に、候補者・議員を生み出し後押しする「私たちの世代のフェミニズム運動」とのことです。始まりは、2021年の森喜朗東京オリパラ大会組織委員会会長(当時)による女性蔑視発言に対する怒りからの署名活動だったとのこと。地方議員・議会の意義を増やす、再定義するという活動に始まり、防災備蓄品の生理用ナプキンが1種類(昼用)しかないことから、決定の場に男性しかいないことの一例であり、色々な目線の人たちが意思決定の場に必要であることを強く話された。
若者と高齢者の対立として、今の状況が語られている現状に、多様な世代で連帯することを目指して「旗を立て 戦略を作り 仲間を集め みんなで変えていく」をスローガンに活動を続けられている。子供の頃から政治に触れることの大切さを、能條さんの体験から強く感じ、「自分たちのコミュニティは自分たちで良くしていく」にハッとさせられ、最後の言葉には勇気をもらう。とても濃密なお話しを伺う事ができた。
1998年生まれ。2019年、若者の投票率が80%を超えるデンマークに留学し、若い世代の政治参加を促進するNO YOUTH NO JAPAN を設立。TIME誌の次世代の100人#TlME 1OONEXT 2022 選出。
報告 :雫石
( 本講座チラシ )