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掲載日:2025年10月16日

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講座の記録

講座名:生活クラブカッレジ2025
第三回 食の未来は私たちの手で ~耕す市民のススメ~
講師:榊田 みどり さん
開催日:2025年10月8日 (水)

前半は、日本の農業の厳しい状況についてデータをもとに説明があり、後半は、地域の自治体やJAの前向きな実践や、私たち一人ひとりができる取り組みなど紹介がありました。

私たちの食卓を支える農の危機には、さまざまな要因があり、就業人口の減少、高齢化、過疎化、気候変動などについて説明がありました。国民が振り回された「令和の米騒動」では、コメ不足、米が買えない状況となったことをふりかえり、日本の農業政策について学びました。これまで米は余っていると言われ、値下がりが続いてきましたが、30年間、農業者は離農というかたちで「静かな悲鳴」を上げていたと伺い、消費者として生産現場の厳しさをしっかりと受け止めなければならないと思いました。

適正価格の問題、大規模農家への農地集積による離農促進と村の衰退、7割が後継者なしという現状があり、政府が提唱する「担い手の規模拡大」「スマート農業の導入」「農家が減少しても生産できる体制」などによって本当に持続的な農業は可能なのか?日本の食の未来を、私たち消費者はどう受け止めて未来に向かえばよいのか?さまざまな疑問が残る前半でした。

後半は、全国の自治体やJA、市民の取り組みについて伺い、独自の発想など明るい未来も感じることができました。都市住民も、単なる「食べ手」になるだけでなく、日本の農業と食のあり方を『ジブンゴト』として捉え、「作り手」との関係を深めることが必要だと実感しました。

(参考事例)

◆地域での実践
  • 愛知県豊田市敷島地区「自給家族」
  • 福岡県糸島市井原山「田縁プロジェクト」
  • 福島県二本松市東和地区「まい田んぼ」
  • 新潟県上越市「田舎の親戚」
◆生協による農業への参加
  • 生協とJAによる「米作り体験」
  • 生協による農園開設、農業参画
◆自治体、民間の「小さな農」の担い手育成
  • JAグループ北海道中央会「パラレルノーカー」
  • 神戸市「マイクロファーマーズスクール」「神戸市ネクストファーマー制度」
  • JA全農「91農業」(暮らしの中に1割農業を)
  • 千葉県睦沢町「チバニアン兼業農学校」
  • 神奈川県秦野市「はだの市民農業塾」(新規就農コース)
◆個人
  • 「耕す市民」⋯市民体験農園、貸し農園、ベランダ農民
  • 農家のサポーター、援農
講師プロフィール
農業ジャーナリスト。明治大学客員教授。農政ジャーナリストの会幹事。 学生時代から農村現場を歩き、消費者団体勤務を経て 90 年よりフリー。 農業・食・環境問題の分野で、一般誌・農業誌などで執筆。著書に『農的暮らしをはじめる本』(農文協)、共著に『だから集落営農が必要だ』(農文協)、『半農半X~これまで、これから』(創森社)、『安ければそれでいいのか!?』(コモンズ)『知識ゼロからの現代農業入門』(家の光協会)など。

報告 :吉田
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