掲載日:2025年10月31日
講座の記録
| 講座名 | : | 生活クラブカッレジ2025 第4回 介護保険25年 私たちは住み慣れた我が家で生を全うできるか | |
| 講師 | : | 小島 美里 さん | |
| 開催日 | : | 2025年10月25日 (土) |
2000年に介護保険が始まる以前から現在まで、介護現場の第一線でさまざまな介護事業を運営、25年間の介護保険の変化を現場で見続けてきた小島美里さんにお話を伺いました。
これからの超高齢社会では、認知症1000万人社会の到来が予想されています。現在でも介護保険利用理由の1位は認知症であるにも関わらず、介護認定が身体モデルであるため、身体が元気な認知症の方たちは未認定や要介護1や2の軽度の認定しか受けられません。認知症に合わせた制度がないため、必要な訪問介護や生活援助を受けることができないまま、本人や家族は大変な負担を強いられているのです。
また、度重なる介護保険制度の改悪で訪問介護の基本報酬が引き下げられ制度が複雑化、コロナ禍の影響もあって報酬の安い訪問介護や生活援助を担ってきた中小の事業所の倒産や閉鎖が急増したとのこと。そこで現在最も深刻な問題になっているのが、介護職のヘルパーの人手不足です。
在宅で介護サービスを受けようとしても、人手が足りず介護保険だけでは十分なサービスを受けることができない状況が続いています。お金のある人は高額な自費サービスを利用して介護の質を保つことができますが、お金がない人は在宅介護という名の放置状態に置かれることになってしまうのです。国は在宅から大規模事業所やサービス付き高齢者住宅などの集住型への移行を推進しようとしていますが、入居後毎月数十万円かかる費用を払える人がどれだけいるのでしょうか。
小島さんの話を伺って、参加者の皆さんは介護保険の現状に衝撃を受け、介護保険の将来に大きな危機感を抱かれたようでした。私たち自身が保険料を払い続けいている当事者として、更なる介護保険の改悪に反対し、介護報酬の引き上げを求めるなど、小島さんたちと共に介護保険が制度として機能し続けるよう運動していかなければならないと強く思いました。
(NPO)暮らしネット・えん代表理事。ケア社会をつくる会世話人。1984年から3期12年新座市議会議員(無党派)。
著書に『あなたはどこで死にたいですか?~認知症でも自分らしく生きられる社会へ~』(岩波書店)、『おひとりさまの逆襲』(上野千鶴子さんと共著、ビジネス社)、『マンガ認知症 介護施設編』(共著、ちくま新書)等。
報告 :A
( 本講座チラシ )