1958年生まれで、小学校の頃は高度成長真っ直中。学校の教科書では、道路舗装率が欧米に比べて遅れていることが嘆かれ、工場の排煙が「進歩」の象徴として書かれていました。たしか小学校の2年の頃(1966年頃)だったと思いますが、紙切れを捨てようと手にとったところ“この紙だって元々は命あるものだったのだから、簡単に捨てるのはよくない”と直観し、モノをなかなか捨てられない子どもでした。当時、我が家(地方公務員)が貧乏であったということも大きく、いまのNHK連続ドラマの『ゲゲゲの女房』みたいなもんですね。
と、いうことでモノをなかなか捨てられず、ノートでは1行の間に極小の文字で3行分を詰め込んだり手先が器用でエンピツのお尻に地図を彫ったり考える人を彫ったり。教師からは“お宅のお子さんはヘンだ”と言われておりました。中学の時には、上靴がズタボロの雪駄状(ゴムヒモは当然最初のうちに切れたのでヒモをどこかから拾ってきて縛り付けていた)になったままで履いていて、弟が“兄貴をなんとかしてくれないと、恥ずかしくて学校に行けない”と親に泣きつくような始末でありました。
そんな中学3年の秋(1973年10月)に第四次中東戦争が始まり、とつぜん「物不足」で「モノを大切に」と言われ出しました。この時、僕は“先見性あったじゃん!”てな感じでヤッターと思いちょっと嬉しかったのを覚えています。
高校3年の受験の時には、理論物理学か建築か経済学かのどれを学ぶか、まだ迷っていました。一応、理系ではあったものの、学んでいた高校が旧制高校的「教養主義」を標榜しており、ほぼまんべんなく全ての教科を学ぶカリキュラムでした。いわゆる国立大学受験用の高校ですね。
父親が技術系官僚であり文科系官僚=「事務屋」に対して一種の対抗心をもっていたことも影響してか、理系を基本としつつも、高校3生の頃には哲学や社会科学の古典や歴史・経済学の初歩の本などを読みあさっていて、世界史の自主講座を土曜日午後に行ったことも面白かったので、いろんな分野に関われる方面に進みたいと思っていました。
建築は、理系でありながらも文系的なところや芸術的な面(これについてはあまり知らなかったが、大学入試ではデッサンが入試科目だった)があるということで受験したところ、不思議なことにたまたま受かりまして入学しました。ちなみに、自分の苗字が建築学科にぴったりだったと、入ってから初めて気がつきました。
実は、大学1年の6月ぐらいまでは、京都大学理学部を受験しなおして理論物理に行きたいとかも思っていたのですが、結局、受験勉強する時間と意欲がなくって、そのまんま建築学科にいつづけることとなりました。建築学科って課題がハンパじゃなくて毎週毎週すごい量なんです。とはいえ、総合大学でして、文系学部の授業を受けても単位がもらえるという制度があったため、文学部や社会科学系学部の夜学を受講したりしていました。
主に意匠系で、デザインを学んだんですが、建築の分類をみなさん以外と知らないのでこの際ちょっとご説明しますね。僕が学んだ大学の建築学科は、主に意匠系(一般的に建築学科には、大きく分けると3つ、細かく分けると9つほどの分野があります)が強く、デザインに関する課題が多くだされていました。
僕は人文・社会科学系の分野に関心が強く、また通っていた大学に、当時、名物教授がいたこともあって、都市計画系の研究室に行き、意匠設計と都市計画の両方をしたいと思っていました。アテネフランセって知っていますか?お茶の水にあるんですが、あの建物を設計したユニークな先生です。研究室の扉には等身大の写真が貼ってあったりして、半ズボンでひげが伸びている先生でした。
ちなみに、建築と環境との関わりということについては、「建築環境計画」というような科目があり、人間が居住・生活するためによい環境条件(光・熱・音など)と、それを実現するための大まかな技術が教えられていました。僕が通った大学では、この講座を受け持ったのが設備系の教授でしたが、自宅に太陽熱を活用する設備をフル装備していたりしました。
また、ほかの『熱くなる大都市』(1975年刊)というような本を書いていた教授からは、いわゆるヒートアイランド現象についての講義も受けた記憶があります。これは、当時としてはきわめて先進的な話だったように、いまでは思います。ただ、このような環境系の研究は、設備系の研究室が行っており、かなりガチガチに計算が必要であるということと、地味というか、あまり関心を持てなかったので、学生当時は、環境系の勉強はほとんどしませんでした。
僕の卒業論文は「視覚障がい者の都市空間認識」というようなものでした。 視覚に障がいをもった方が、どのように空間を認識し、まちの中を動いているのか、視覚障がい者へのインタビューと一緒に町中を動いての記録が中心のものでした。ほかに同じテーマを選んだ4年生はいなかったので、大学院生3人と一緒の研究という、ある意味贅沢なものでしたが、けっこうたいへんでしたね。たしか200ページ近くのもので、もちろん当時ワープロはなかったので全部手書きでしたから死にそうでした。
そのときに知ったのは、点字ブロックにとくにルールがなくて視覚障がい者が混乱することがあること、視覚障がい者の多くは弱視者であるため点字を読めないのが一般的だから配慮が必要であることなどを知り、課題を挙げ、建築学会でも発表しました。が、いまでも点字ブロックなんかは、きちんとルールに沿った配置などをしないこともあったりするので、もう30年も経っているのに…と思いますね。
当時、強く印象に残っているのは、全盲の女性が交差点で“あ、信号が変わっちゃう”と言って、走って横断歩道をわたったことですね。 その交差点には、視覚障がい者向けの音による信号などはなかったので、たいへん不思議で尋ねたところ、まわりの人が慌てて駆け出そうとする雰囲気(音)を感じたから、と仰っていたことです。卒業設計は、大きな障がい者リハビリテーションセンターで、けっこうたいへんでしたが、今から考えると、あまりよい設計ではなかったですね。
大学卒業後、ある建設会社に就職しました。いちおうは設計志望だったのですが、まずは現場に配属され、現場監督をすることになりました。現場監督というのは、技術的なことはもちろん大事なのですが、たいへんだったのは、新入社員が配属されてすぐに一種の中間管理職になってしまうことでした。建築現場というのは、多くの職人さんたちが集まってきて、協働して建物をつくっていくわけで、彼らを束ね、管理するのが現場監督なわけです。とうぜん、建設会社と職人さんとは利害が対立する部分がでてきますし、職人同士でも職種が違うと対立する(一般に型枠大工<コンクリートを入れる枠をつくる大工さん>と鉄筋職人<鉄筋コンクリートの建物の中の鉄筋を組み立てる>とは仲が悪いというように、いろいろとある)こともあるので、その調停をしたり、指示したりするのが現場監督の大事な仕事です。しかし、いうまでもなく多くの経験を積んでいる職人さんたちがペーペーで知識も経験もない現場監督の言うことを聞くはずもありません。新人には契約を左右する権限もないわけですから。
建築とエコに関しては、何よりも現場というのは、大量のゴミが出る場所だということが実感できました。まず、既存の建物の解体時にゴミがでます。既存建物が木造だった場合はさほどの量はでないし、でても木は燃料になったり(当時は銭湯が引き取ってくれることもあった)、現場で仮設材料として使ったりすることができますから、それほどでもありません。
また、鉄骨造の建物の場合は、鉄骨については溶かして再利用する(多くは自動車用ほどの品質が必要のない建築用の資材となる)ことができますから、解体ででてくる鉄材はむしろ価値のある資材だったりします。ただし、鉄骨以外の材料は、コンクリートのような物が多いため、後に述べる鉄筋コンクリートの解体時と同じ問題が生じます。
問題は既存の建物が鉄筋コンクリート製の建物の場合です。当時は現場で大きなハサミみたいな機械がコンクリートの柱や梁を挟んで砕き、鉄筋だけを取りだしてリサイクルに回していました。
また、サッシのアルミなどもリサイクルに回っていました。しかし、砕かれたコンクリートは使い途がなく(コンクリートに含まれる砂利や砂は貴重なのですが、それらを分離するコストがかかるため分離されなかった)、ダンプに乗せて処理場に持っていっていました。実際、現在でも産業廃棄物(2003年のデータでは廃棄物全体の約9割を占める)全体の約18%は建設業から排出され(2003年環境省。ちなみに電力・ガス業界が約22%、農業が約22%)ますが、そのうちの約42%がコンクリート塊、35%がアスファルト・コンクリート塊で、木材は6%に過ぎません。
ただし、現在は建設リサイクル法などが整備され、現場でも廃棄物管理の書類整備などが義務づけられております。その結果、解体で生じるコンクリート塊の約98%(2002年)アスファルト塊の約99%(同年)がリサイクルされています。ただ、リサイクル品の多くは道路をつくる時の砕石などに利用されており、もう一度コンクリートとして使用するなどの完全リサイクルはコスト(約23割リサイクル品の方が高い)の問題もあって課題が残っています。ちなみに木材についても、現在は燃やすだけでなく、合板の材料に用いるなども一定程度行われています。現在は建設リサイクル法整備で、リサイクル度が高まっています。
環境にかかわる現場での体験としては、地下工事の問題も強い印象に残っています。新入社員として配属されたのは、墨田区の高齢者用病院の建築現場だったのですが、ここは下町なので地下水の水位がとても高く、1mも掘ると水がでてきました。水びたしでは工事ができませんので、水が側面から染み出してこないように、掘ったところを鉄の板で囲むのですが、掘った底からも水がわき出てきますから、それは水中ポンプで汲み上げて排出するしかありません。そのため、かなり水を汲み上げていました。
そして、地下工事終了後に、掘った穴に砂を入れて埋め、横から水が染み出すのを防ぐための板などを抜いてしばらくしたら、隣の建物(場末のスナックだった)が傾いてしまいました。詳細な調査をしたわけではないので確たることは分かりませんが、たぶん地下水を多く汲み上げて隣家下の水分量が足りなくなったことと、掘ったあとで埋めたものの、その締め具合が不十分で横から土が寄ってきたのが原因でしょう。けっきょく、隣の家の傾いたところをジャッキで持ち上げて、そこにコンクリートを流し込んで水平に戻す補償工事をしました。地下は、よく見えないだけに、予測がつかず怖いということを実感しました。
建設会社では鉄筋コンクリート造の病院、鉄骨造の学校、鉄骨鉄筋コンクリート造のマンションと、1とおりの構造・用途の建設現場を体験してきたので、建設会社を辞め、現在も所属している設計事務所に転職しました。この事務所の主宰者は劇場・ホールの研究と設計をメインテーマとしていて、僕自身、大学時代に演劇にかかわったことから興味があったので転職したのです。
仕事は、設計というよりは地方自治体の文化政策へのコンサルティングと、農村の集会施設の計画が中心でした。当時の仕事は「エコ」を主眼としたものではありませんが、とくに農村の集会施設では“無駄な施設をけっこうつくる計画があるんだなぁ”というのが率直な感想でした。
とうぜん、農水省の補助金つまり税金を使ってつくる施設ですから、その集会施設に対して、地域で需要があることを「予測」し、「証明」する必要があります。そこで、地方の担当者に地域で活動するいろいろなグループがどれくらいあるかの資料を出してもらい、それらのグループがだいたい週に1日とか2日とか活動するだろうから、これこれこういう集会室や会議室が必要です、という報告書をつくり、それに合わせた建物の設計をしました。もちろん、いちおうは地域の類似施設の存在を調査したりしますが、最終的には、それらの既存施設から新施設に乗り換えるだろう、というような「作文」をするのです。ちょうど地方空港の需要予測が実情とぜんぜん異なるなんてことが話題になっていますが、ようするにそれと似たようなことが行われていた、ということです。これは、「エコ」とはまったく逆行することですね。さすがに、いまはこういうことはなくなっているとは思いますが。
いっぽう文化施設では、とうじはまだ多目的ホール全盛期でして、何にでも使えることになっているが、すべてに中途半端という劇場・ホールが多かったのです。しかし、たとえばクラシック音楽用のコンサートホールと、演劇のための劇場とでは、適切な音の響きは全く異なります。演劇のための劇場ではセリフがくっきりと聞こえる必要があるのに対して、クラシック音楽(とくに大きなオーケストラの音楽)では朗々と響いてほしいからです。くわしくいうと、同じクラシック音楽でも、ピアノ曲と交響曲(とくにロマン派以降の)、宗教曲とでは必要とされる響きがぜんぜん違ってきます。
いっぽう、当時、かなり多くのホールがつくられてきており、それら相互の距離は近いので、観客はどちらでも選べるという状況になってきていました。そこで、僕の事務所では、一定の専門性をもったホールを複数つくり、それら全体をネットワークすることで、さまざまな分野の舞台芸術に最適な空間を用意しよう、という考え方を提示していました。じっさい、いくつかの自治体で、それが実現しています。
さて「エコ」ですが、1986年にチェルノブイリ原発事故がおき、日本でも反原発運動がさかんになります。1988年伊方原発出力上昇試験に対する反対運動が全国で活性化。当時、「ニューウェーブ」と言われました。ちょうどこのころ、僕はパソコン通信を始めており、それを通じていろいろな反原発運動にかかわる情報を知ることができました。
そして、年の春に、日比谷公園で大規模な原発反対集会が行われましたので、僕も参加しました。この時の集会では、主宰者の予想を超える大人数であり、どういう経緯だかはわかりかねますが、なぜか資源エネルギー庁にモノ申すというような流れとなりました。僕も野次馬根性でついていったのですが、この時の光景で忘れられないのは、ぴったり扉を閉めた資源エネルギー庁の入り口前の階段に腰掛けて乳児に母乳をあげていた若い母親の姿でした。この時の集会は、そのような、いわゆる「活動家」とは違う人々が多く参加していたためか、警察も遠巻きに見守るのみで、とくに何も規制はありませんでした。 もちろん、資源エネルギー庁の扉があくことはなかったし、外からは中が見えないミラーガラスの窓に顔を押し付けて中を見ると、中にはいっぱい警察官がいましたが。
しかし、たぶんこの時の反省が警備陣にはあったのでしょう。そのしばらく後に、青森六ヶ所村の核燃処理施設への反対署名を、科学技術庁と核燃事業団にもっていくという行動があり、たしか月曜日に、僕は仮病で会社を休んで同行することにしたのですが、こちらは少人数だったのに、大勢の機動隊員に取り囲まれてしまいました。ちょうど、官庁街用迷彩服(紺の背広上下とネクタイ)をしていったので、にげちゃおうか、とも思ったのですが、そうもいかず、結局、科学技術庁まで署名を持っていくのにつきあいました。と、キドータイのおにいちゃんたちによると、道路通行の妨害になるから、ということで(こちらはほんの10人くらいなのに)、100人ぐらいで前後左右から取り囲み、歩くこととなりました。彼らに左右から取り囲まれると、こちらの体が浮かび上がってしまうんですよね。しかも、外から見えないように、足で蹴ってくるし・・・
ところで、なぜ原発に僕が反対かについて、簡単に述べておきます。
- ウランの埋蔵量もせいぜい100年 -
まず現状のウラン核分裂型の原発は化石燃料から切り替わる存在にはなりえないことがあります。なぜなら、ウランの埋蔵量にも限りがあるからです。ただし、その量については諸説あり、たとえば電気事業連合会などでは石油があと40年、天然ガスがあと60年なのに対して、ウランはあと100年、石炭は130年もつという試算を示しています。ただし、オイルサンドやメタンハイドレードなどの現時点で採算の取れない資源が「実用化」するでしょうから、それらも入れると、もっと長く化石燃料の時代が続くこととはなるでしょう。
- もっと脱線──脱原発運動の意義 -
ちなみに、電力会社の試算によると、原発の発電単価は確かにかなり安いのですが、よく言われるように放射性廃棄物の処理費用が十分に計算に入っていない(一応は計算されているが、まだ高レベル放射性廃棄物質の処理技術は確立されていませんし、処理場所も未確定など不確定要素が多すぎる)ため、眉にツバをつける必要があります。
と、いうわけで脱原発運動の末端にかかわった(単に野次馬的にくっついていただけですが…)わけですが、その結果、脱原発が実現したかというと否ですね。六ヶ所村の再処理施設も運転開始されてしまいました(案の定、うまく稼働していませんが…)。
では、脱原発運動に意味はないか、というと、そんなことは全然無いと考えています。というのは、原発の危険性を強く主張し、反対運動を行うことは、安全性確保のための費用や広告宣伝費用が必要となり、原発のコストを上げることになるからです。もちろん、それは原発による電気だけでなく、電気一般の値段が上がることになります(しかも、一部は税金が投入されているので、税額も上がる)が、結局のところ、そのようにエネルギーコストが上がることは、省エネや新エネルギー開発を促すこととなるため、好ましい、と思うのです。
つまり、「成功/失敗」「勝ち/負け」のデジタル的運動観から、「ちょっと勝ち/ちょっと負け」のアナログ的運動観へ、考え方を転換してもいいんじゃないか、と思います。そう考えれば、1人1人の「運動」がわずかづつでも──たとえば電気代を0.001銭上げれば、純粋に経済理論的に考えれば、「弾性値」といいますが、それに比例するだけの需要を下げることになります。そして、その分、将来世代にエネルギーを残してあげることになるでしょう──やる意味がある、と思えてきて、勇気がわくじゃないですか。
冬の暖房のためのエネルギー消費を少なくするための工夫が多彩
さて、僕の所属する事務所では、あるガラスメーカーの広報誌の編集を長く担ってきました。そして、国内外の多くの建築や建築家を取材してきました。
とくに多かったのがドイツの建築です。それは、ドイツにはガラスをうまく使いながら環境を重視した建築が数多くあり、それを紹介するためでした。
ご存じのとおり、ドイツは高緯度でいちばん南の方のミュンヘンでも北海道の北端よりも北に位置します。よって、冬の日照時間は短く、大西洋のおかげで比較的温暖とはいえども、日本の本州と比べれば、夏は涼しく(だから冷房のないホテルなどが多い)冬は寒い気候です。だから、冬の暖房のためのエネルギー消費はかなり多く、それを少なくするための工夫がいろいろとされているのです。
- ダブルスキン・ファサードという方法──モダン縁側 -
たとえば、ドイツでかなり普及しているテクニックに、ダブルスキン・ファサードという方法があります。これは、建物の外装に建物外壁から1mほど離したところにガラス張りの縁側のような空間を設ける手法です。ドイツの最近の環境に配慮したオフィスビルでは外装自体は複層ガラスでできているのが普通ですから、それと合わせて3重ガラスということとなります。これによって、まさに縁側と同じなのですが、ダブルスキンゾーンが、寒いときには太陽の光を受けた温室のように暖まって建物を暖め、暑いときには太陽熱で暖まった空気を屋上から逃がして熱が建物につたわるのを緩和するという仕組みなのです。
- 超高性能ガラスの採用 -
ガラス自体も、日本で一般的な間に空気を入れた複層ガラスではなく、アルゴンやクリプトンといった不活性ガスを注入したものが多いですし、熱の通過を抑える役割を果たす特殊な皮膜(銀などを極薄に塗りつける)を施しているものが多く、1枚ガラスの4倍ほどの断熱性能があります。また、ガラス張りのため、室内には自然光が多く入り込んで明るく、照明のためのエネルギーも少なくなっています。
また、空気を暖めたり、冷やしたりするのではなく、建物の壁や天井を暖めたり冷やしたりして、輻射によって冷暖房する仕掛けの建物も数多くあります。こうした方が、せっかく快適な温度になった空気を換気で外に捨ててしまうことはないし、それほど空気を暖めたり冷やしたりしなくても、体感上、じゅうぶんに快適ですごせるからです。暖房でいえば韓国のオンドルなどは、そういう形の暖房システムです。ただ、立ち上がりがやや遅く、止めるのも時間がかかるという弱点はあるので、日本の環境にそのまま使えるかどうかは、研究が必要でしょうね。こうした工夫によって、かなりのエネルギー消費を少なくしています。ただし、ドイツでは事務室が小さいオフィスビルが一般的で、部屋の奥行きが少ないので、日本で同じことはやりにくいのですが。
- 厳しい法規制 -
例えばドイツでは、2008年にすべての住宅(集合住宅も含む)に、その年間エネルギー消費量を一目でわかるようにした「エネルギーパス」を作成することが義務付けられています。ドイツでも、まだまだガラスが1枚ガラスであるなど、断熱性能が低い、古い住宅などが残っているのですが、それを少なくしようという意図があり、既に建っている建物についても、そのような規制がつくられたのです。
省エネに無頓着で精度の悪いアメリカの建築 ドイツ以外はあまり行ったことがないのですが、アメリカは省エネのことはほとんど考えられていませんでしたね。 建築の精度自体もかなり悪く、たとえば石張りの玄関ロビー部分で石と石の間の隙間が全く埋められておらずに指が入る状態というように、日本なら施主が受取拒否するようなレベルのものがありました。もちろん、中にはたいへん美しく作られた建物もあるにはありましたが。
クーラーガンガンと何もなしの両極化する香港、タイ、フィリピン、インドネシアアジアでは、香港、タイ、フィリピン、インドネシアに行きました。それらの国では、先進的な建築家たちは夏の遮熱や暖められた空気の流れを考慮に入れた建築を計画・設計していましたが、ごく一部という感じでした。ただ、冷房をガンガンつけるのは、ホテルやスーパーマーケットぐらいでしたから、消費エネルギー自体はさほど多くはなかったと思います。
さて、建築分野が日本の二酸化炭素発生の1/3を排出していると既に述べましたが、このうち、建設段階が1990年で約1/3、2005年には約1/4で、残りは運用段階、すなわち日々使う時に使われています。
まず、建設段階の二酸化炭素発生ですが、もちろん構造や規模などによって異なりますが、木造では大まかにいって木材が40%、鋼材が14%、コンクリートが46%という計算があります。ちなみに、木材自体が成長する時には二酸化炭素をむしろ吸収するのですが、それを伐採・製材・乾燥させて移動させるときにエネルギーを必要とし、二酸化炭素を排出するのです。なお、サッシに多く用いられるアルミニウムは電気の塊のようなものですし、ガラスも高熱で硝石を溶かしてつくるので、単位重量あたりの二酸化炭素排出量ではかなり多い(たとえばアルミはボーキサイトからつくる場合は木材の1000倍を超え、リサイクルでも500倍ほどの二酸化炭素を排出します)のですが、使用量が少ないこともあって、それらを含めたデータは見つけることができませんでした。
ただ、木造と比べると鉄筋コンクリート造は約3.5倍、鉄骨造は約2.5倍と、木造の二酸化炭素排出量はかなり少ないことは確かです。また、木材の炭素固定量を勘案すると、トータルでは.になるという試算もあります。そういう意味で、木造は推奨されます。もちろん、これまでのように木造住宅を25年ほどで建て替えたりしていたのでは、そのメリットも少なくなってしまいますが…
とはいうものの、実はコンクリートにも建築に使われる鉄にもエコな面はあったりします。
まず、コンクリートの原料の一つ(ほかは砂利と砂)であるセメントは、は高温で硝石などを焼いてつくるのですが、製鉄の廃棄物である高炉スラグと石炭灰、廃プラスチック、廃油、廃タイヤ、木屑、下水汚泥、肉骨粉など、ほんとうに多くの産業から出てくる廃棄物が原料またはセメントをつくるための燃料として用いられています。2008年度の実績では、セメント1トンをつくるためにそうした他産業からの廃棄物が448kg(ほぼ半分)使われています。また、鉄筋はその98%が、鉄くずを原料に電気炉でつくられていますが、これまたリサイクル率がきわめて高いのです。ほかに、グラスウールもほぼ100%近くが廃ガラスからつくられており、リサイクルの優等生です。
建物を運用する時に発生する二酸化炭素は、ですが、たとえば戸建て住宅の場合、一般に、冷暖房で35%、給湯で25%、照明・冷蔵庫・厨房・テレビ等で40%というような割合となっています(イギリスでは冷暖房の比率がもっと高く50%を超えているそうですから、地域性が大きいですね)。マンションの場合は、きちんと比較できるデータを見つけられなかった(冷暖房が38%、給湯が39%、照明11%、換気5%、厨房7%というデータがある【 社・日本建材・住宅設備産業協会の調査資料より 】けれども、これには電化製品の消費エネルギーが入っていないので比べづらい。給湯がほぼ同じだと仮定すると、冷暖房の比率が低く照明の比率が高いと思われるが)ですから、冷暖房や給湯・照明・電気機器の効率化や、それらがムダに動いていないかの管理が大事です。
大学の同期が省エネのシミュレーションをしているのですが、そこで推奨されているのは、例えば以下のような行動です。 冷暖房では、暖房室温を2℃、冷房室温を1℃上げるとか、運転時間を25%短縮など給湯では、給湯温度を1℃下げる、入浴回数を減らす、フロ給湯量を減らす、節水シャワーヘッドを使う、夏の洗顔・炊事に水を使うなど家電では、不使用時の家電コンセント抜き、洗濯のまとめ洗い、温水便座のふたを閉める、フロの残り湯の洗濯使用などです。それほど生活レベルを下げずに行える活動ばかりだと思います。ただ、こうした行動による効果が1割程度あると言われているが、やはり抜本的な対策が必要です。
解体時に、どれくらいリサイクルできるかがキモ 解体時には、どれくらいリサイクルできるかがキモとなります。たとえば木材などは、燃やしてしまったら二酸化炭素が発生しますが、再利用すればそんなことはありません。もちろん、木材の燃焼時に発生する二酸化炭素は京都議定書などでは制限の対象とはなっていませんが。
また、ほかの素材でも、たとえば鉄筋をリサイクルに回せば、新しく鉄鉱石から鉄をつくるよりも少ない二酸化炭素発生ですみます。アルミにいたっては、リサイクルすれば1/3の排出量ですみます(製造段階だけでいうと、リサイクルでアルミをつくるのに必要なエネルギーは、ボーキサイトからアルミをつくるのに必要なエネルギーの6%程度と言われているが、じっさいには回収・運搬・分別・中間処理にもエネルギーを要するので)。ただし、リサイクル行為自体もエネルギーを消費するので、できるだけ解体しないことが大事。
- ガマンする人もいるが… -
さて、冷暖房が住宅のエネルギー消費に占める割合が4割弱と言いましたが、では暑くても寒くてもガマンをすればいいのでしょうか?まぁ、僕の場合は、仕事場にも自宅にもクーラーはなく夏の暑さ対策は基本的に薄着です。また、真冬でも仕事場では足元を暖める温風器をときどき使うだけでかなりな厚着の上に指先のでる手袋をして仕事しとりますから、けっこうガマンしている方だと思いますが、それを一般化はできませんよね。真冬は手がかじかんでキーボード打つのがつらいくらいですから。ただ、あまり冷暖房を使わなくても、また古い家でも(事務所は以前住んでいた鉄骨造の家の3階にあるので、冬の寒さは断熱材の薄いふつうの木造住宅よりはマシだと言えるが、逆に夏の暑さはかなりある)、住まい方と気持ち次第でなんとかなる実例とはなりましょう。
- 個人差が大きい -
なお、財団法人省エネルギーセンターが行った調査では、エアコンによる冷房の設定温度は個人差がきわめて大きいとされています。8軒の調査で最低24.5℃、最高は28.0℃だったそうです。いっぱんに日中家にいる人は冷房をつけることが少なく、日頃オフィスで冷房が当たり前の生活をしている人は冷房を好む傾向にあるらしいです。
やはり夏は薄着すれば汗がしたたらない程度に、冬は少しだけ厚着すれば──室内で手袋なんかせずに!──ふるえない程度の生活にはなる必要がありますね。年をとってくると、寒さはときに致命的になります──一般に冬の脳血管障害発生率は夏の2倍以上──し。
- エアコンだのみは避けたい -
エアコンやストーブに頼るのか? それでは「エコ」とは言えません。最近のエアコンはとても効率がいいのですが、その運転時間が増えると、消費エネルギーは増えるばかりです。
- 結露に悩まされるお宅も多い -
また、冬に暖房を強くすると、断熱性能の低い家では結露に悩まされることになります。ちょうど今、マンションの窓を断熱性能の高いものに取り替える改修工事促進のための広報活動にかかわっていて、いろいろなマンションの結露状況をお聞きしたのですが、みなさんすごく結露には悩まされていらっしゃいますよね。毎朝、雑巾5枚使われるお宅とか、結露拭きワイパーが2窓でいっぱいになって、何度もふいてまわるお宅のお話をお聞きしました。
- 住宅の省エネの鍵は、「高気密高断熱」 -
ですから、住宅の省エネの鍵は、「高気密高断熱」なのです。
まず「高断熱」ですが、これは住宅の断熱性能を高めることです。断熱材を厚くしたり、ガラス窓を断熱性能のいいものに替えたりすることですね。
- では、どこをどのように断熱すればいいのか。 -
まず部位ですが、1990年の比較的省エネに配慮した東京の住宅の場合、冬の暖房時には、ある調査によると開口部(窓ですね)から約48%、天井・屋根から約6%、床から約10%、外壁から約19%、すきま風や換気で約17%の熱が失われます(地域/ 東京 1992年の新省エネルギー基準の場合/出典:( 社) 日本建材・住宅設備産業協会)。もちろん、地域や建物の姿形・大きさなどによってこの比率は異なってきますが、別の資料でも、開口部37%、天井・屋根12%、床9%、外壁16%、換気20%となっていますから、大きくは開口部が4割程度、屋根・天井が1割ほど、壁が2割弱、床が1割、換気関係で2割弱といえるでしょう。夏の熱の流入の部位別寄与率は、開口部53%、屋根9%、外壁7%、床3%、換気28%となっているので、開口部の占める割合が大きいことは冬と変わらず、床・壁の割合が減って換気の割合が増えています。 ですから、これまた夏も開口部の遮熱対策が大事ということになります。
ガラスの熱性能は、高性能のものとふつうのものとでは4倍ほども性能が異なるですから、まずは開口部の断熱性を高める必要があります。窓の大部分を占めるガラスの熱性能は、高性能のものとふつうのものとでは4倍ほども性能が異なります。いろいろなガラスの断熱性能を比べると、1枚ガラス:約6、複層ガラス:約3、Low-E ガラス:約1.6、真空Low-E ガラス:約1.4遮熱性能(日射取得率)では、1枚ガラス:約0.9、複層ガラス:約0.8、Low-E ガラス:約0.6、遮熱タイプLow-E ガラス:約0.4、真空Low-E ガラス(断熱タイプ):約0.6、真空Low-E ガラス(遮熱):約0.35
全ての開口部を1枚ガラスから複層ガラスに替えると、住宅の断熱性能は約2割向上ですから、例えば全ての開口部を1枚ガラスから複層ガラスに替えると、断熱性能は2倍になりますから、上記の割合を参照すると、住宅の断熱性能を約24%向上できることになります。
- 内窓工法も断熱性能を上げる効果はある -
また、ガラスを替えずに、既存の窓の内側にもう1枚窓を取り付ける内窓工法も断熱性能を上げる効果はあります。マンションの場合など、窓を取り替えにくい場合は、選択肢に入れていいかと思います。 窓を替えずにガラスを替える工法もありますから、それと利害得失をよく考える必要はありますが。
- 厚手のカーテンで断熱 -
まず断熱性ですが、床から天井までの厚手のカーテンを閉めることは、窓付近に熱を伝えにくい空気の層を設けることとなりますし、窓からの輻射熱を遮ることとなりますから、一定の効果をあげます。ただし、カーテンで締め切ると窓付近の温度は下がるけれども湿度は暖かめの室内と同じなので結露の可能性は高まるので注意が必要です。実は同じ現象が、内窓工法でも起きているのを見たことがあります。
- 遮熱はカーテンよりもスダレ -
遮熱についても、カーテンは一定の効果を上げます。ただし、窓の内側にカーテンがあり窓を閉め切っている場合は、遮った日射で暖まったカーテンにたまった熱が結局のところほとんど室内に放出されるので効果は限定されます。
一方、外側に日射を遮るものを設けるのは、たいへん効果的です。日射がガラスにあたる量も減るので窓ガラスから室内側に放出される熱も減ってきます。ですから、スダレを窓の外につるしたりおいたりすることはたいへん効果的です。また、蔓性植物によるグリーンカーテンも効果があり、2.3割の冷房費削減効果があるという計算もあります。我が家では、ここ数年、毎年夏は、ゴーヤときゅうりを窓の外で育てており、ゴーヤなんかは最盛期には毎週2.3個はなってくれ、食べるのに困るくらいです。
- できれば庇を -
また、建物ができた後では変えづらいですが、庇も効果があります。庇の場合、太陽高度の高い夏は日射を遮り、太陽高度が低い冬は日射を遮らないですし、雨の時でも換気ができるという利点もあります。ちなみに、我が家の場合、南側と東側には大きめの庇を設け、窓はすべて複層ガラス、とくに西日があたる西側の2階と3階の窓および南側の大きな窓ではLow-E 複層ガラスを導入しています。
次に、床・壁・天井の断熱・遮熱ですが、これは基本的に高性能な断熱材を設けることが対策となります。断熱材を設ける方法としては、大きく、内断熱(壁の中ないし壁の内側に断熱材を設ける方法。充填断熱ともいう)と、外断熱(壁の外側に断熱材を設ける方法)があります。コンクリート造の建物の場合は、そのコンクリートの躯体の蓄熱性能を活かし、躯体の耐久性向上効果もあるため、外断熱の方がベター(ただし住戸全体を暖房しない場合は、結露の危険性がある)ですが、木造の場合はそれぞれに得失があってどちらでも十分な注意を払えばいいといえます。
いっぱんに内断熱の方がコストが安いですが、構造部材などが熱を伝えて──そういう部分を熱の橋と書いて熱橋といいます──しまい、断熱性能が低くなりがちなこと、それだけでは気密性能を確保しづらいこと、設計・施工が悪いと壁の中に湿気が入ってしまって断熱性能を落としたり、最悪の場合は構造体を腐朽させたりする危険性があることなどの課題があります。
反対に外断熱では、ちゃんと施工すれば熱橋はできませんし、壁内に湿気が侵入して断熱性能を低くしたり腐朽させたりする危険性はほとんどありません。しかし、壁の外に厚い断熱材をきちんと取り付けるのは案外難しいことと、価格的に高いという課題があります。ですから、木造の場合はどちらかが絶対に優れているということはなく、きちんと注意深く設計・施工すればどちらでも高い断熱性能を発揮できますし、予算があれば両方やってもいいわけです。
ただし、内断熱の場合、壁内への湿気流入対策は十分に行うのは必須の条件です。1970年代、オイルショック後に北海道で壁の中に断熱材を厚く詰め込んだところ、新築後数年で壁の内部に流入した湿気がたまってキノコが生えて柱などが腐ってしまったということがありました。 そのため、最近は壁の内側にはビニールシートを張り巡らし、外側には水は通さないが湿気は通す材料を貼り、なおかつ外側に空気が通る通気層を設けるという構法が標準的となっています。
ちなみに、我が家の場合、内断熱としましたが、断熱材は高性能のもので壁で厚さ12cm、屋根では厚さ21cmとしましたので、だいたい東北地方北部ぐらいのの断熱性能は確保されている計算となります。
先にも示しましたように、住宅から出入りする熱の約2割(夏は3割)が換気によります。昔の日本のようにすきま風の多い家の場合は、もっとすごかったでしょうね。ですから、気密を高めることは断熱性能を高めることにつながります。また、高気密がなく高断熱とすると、湿気が壁内部などに入り込んで結露を起こし木材を腐朽させる危険性が高いので、その意味でも高気密が必要です。
しかし、後で述べるように、高気密になると建材などに含まれる化学物質によって、いわゆる「シックハウス」症候群を発症してしまう危険性もでてきます。
そのため、高気密・高断熱住宅では、24時間換気が必須です。なお、現在のふつうの工事を行った場合、とくに「高気密」をめざさなくても気密性はかつてよりははるかに高くなってしまうので、24時間換気は必ずする必要があります(建築確認申請時に換気計画をつけることが義務付けられている)。
よく、もったいないからということで換気扇を止めてしまうということが起きますが、それは避けなければなりません。 ただし、春や秋などのように窓を開けて過ごせる場合(クーラーのない我が家の場合は夏もですが)は、とうぜんながら換気扇が回っている必要はありません──まぁふつうはトイレなどに設ける設計をするでしょうから臭気対策の意味ではつけておいていいと思いますが──から、スイッチを消してもかまいません。
さて、できるだけ自然に、といっても、ふつうの生活をするためには設備機器が必要です。今回は、その中でももっとも建築とかかわりが深い冷暖房機器について少しふれてみます。
COPとは、Coefficient Of Performance のことで、成績係数と訳すことができますが、通常、COP のまま使われます。これは、消費電力(厳密にはエネルギー)1kW あたりの冷却・加熱能力を表した値のことでして、消費電力のもつエネルギー量と冷却・加熱される熱量すなわちエネルギー量が同じだった時に1.0となります。たとえば、電熱線の場合は、入ってくる電気エネルギーが基本的にはほぼすべて熱エネルギーとなるので1.0に近いです。しかし、エアコンなどは先に言ったようにヒートポンプの原理を活用しているので、ちょっと古いものでも3.0程度で、最近の省エネ性能をうたっているものには6.0程度のものも現れてきています。
実は火力発電所の発電効率(発電機を回すために必要な石油などを燃やすことで産み出されるエネルギーのうち何%が電気エネルギーに転換されたかの効率)はガスタービンを用いたきわめて高い効率をほこるものでも50%ほどにすぎず、一般的には40%程度、原発などでは30%強にしか過ぎません。さらに送電時に、電線が発熱するなどして5%ほどエネルギーが失われるので発電効率40%とすると、そのうち5%を差し引いて38%ほどが工場や家庭に伝わってくるのです。
開放型(屋内で火を燃やすタイプ)は室内で火が燃えるので、湿気を生じ(ガス1m3で約3.5.の水が発生)、結露等を酷くし、排気ガスの汚染、火事の危険性などがある。密閉型は効率がやや低く、立ち上がりが遅く、値段が高いが、原則としてこちらを。
発電効率は約10.15%(10年から15年ほどで投資は回収できる計算)
影は大敵
雨漏りに注意
太陽熱温水器はもっと評価されるべき
エネルギー収支では優等生
家庭レベルでは実用化は困難
地熱発電はエネルギー収支では有望。
日本は資源大国になりえるが困難も。
地中熱利用ヒートポンプは住宅でも利用可能
2010年4月から施行されている。
その概要
全体のエネルギー使用量が多い企業は届け出が義務化(罰金あり)
床面積300u以上の建物の新築や改築時にも届け出が必要(罰金あり)
主に設備の効率と断熱・気密性能を届ける必要がある
年間150軒以上を建てる建売り住宅業者も省エネ目標水準を超えることが求められた。
EU諸国はもっと厳しい
2019年にはすべての公共建築で、2021年にはすべての建築でCO2の排出をゼロとすることが決まっている。
一般的には高気密化と化学物質を多用した建材等により、化学物質過敏症が生じることをシックハウス症候群という。ただし、無垢の木であっても、天然の化学物質を放出しており、それに過敏に反応する人もいる。個別性がきわめて高く一般論はいいづらい。
2003年の建築基準法改正で届け出が義務づけ
内装に用いられるすべての建材について、使用面積と特定化学物質の含有量を一覧表にして提出しないと建築許可がおりない。
換気の義務づけ
ホルムアルデヒドとクロルピリホス以外は基本的に制限されていない
現在流通している建材のほとんどは低ホルムアルデヒド製品(F ☆☆☆☆)
建材の基準はあるが、家具などに基準がなく要注意。
LCA(Life Cycle Assessment)の観点から考える必要がある。たとえば、断熱材で羊毛を主体とする羊毛断熱材が「エコ」とされる。吸湿性もあってすぐれた材料だと思うが、オーストラリアから移送する時に要するエネルギーコストを考える必要がある。一方、グラスウールはリサイクル率がほぼ100%。性質を考えて使う。湿度調整機能がある素材として珪藻土に人気がある。確かにすぐれた材料だと思うが、湿度調整機能は使用体積に比例するので、厚く塗らないと調湿機能としては無意味。ファッションでやっても意味はない。
地方自治体がつくる景観条例や地域住民が締結する景観協定に法的強制力をもたせるねらいでつくられた。地方自治体が建物の色や形を規制する景観計画・景観条例・景観地区をつくったり、地域住民が地域に建てられる建物の色や形を定める景観協定を定められる。(倉敷市、新潟の村上市の街並み)
両隣から文句を言われたということですが、両隣も特にたいしたことはない。本人が言うことにはちゃんと道路から隣に比べればセットバックして建てている。意外と騒いでいる割にはどうと言うことがないですね。
かなり厳しいのが一般的。とくに都市では、軒の高さや外観の規制もある。ドイツでは個人の庭の木でも一定規模以上のものは切れない。ただし、時にたいへん個性的な建築もつくられます。
(終わり)
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