掲載日:2011年7月2日
私は静岡県富士市生まれで、2歳で沼津に越し18歳まで過ごしました。大学は美術・美術史専攻、卒業後ブライダルセンターでコスチューム・アドバイザーを務め、その後コピーライターの仕事に移り広告代理店で働きました。そして結婚退職して現在に至ります。2007年に長男出産、2008年頃からおりがみサークルの活動を始めました。
小学生のころからずいぶんたっておりがみを始めたのは子どもが生まれたのがきっかけでしたが、公民館のおりがみ教室に通い始めました。2010年、教室が終了し新たにおりがみサークルを立ち上げ、代表になりました。代表は1年勤めました。
今日は「おりがみってワンダホー」の副題もついていますが、Thankyouカードをご紹介したいと思います。おりがみと組み合わせたポップアップカードになっています。意外と簡単にできます。こんな感じのものです。今日は全部は仕上げられないかもしれませんが、材料はお渡しできるよう準備してます。
小さなサイズは折りにくいんです。このサイズでアジサイに見えるように折るのはコツがいります。普通のおりがみは15cm幅なんですが、この大きさで折ってもらって、小さいのはお家で折って見てください。
私は現在30代ですが、これまでの人生の節目節目で手紙が大事な役目を果たしていたと思っています。少しその辺を振り返ってみます。
記憶にある最初は小学2年の頃、社会科見学で郵便局に行きました。母の日に絡めて母に感謝のはがきを出し、そのはがきが郵便局の中をどのように通過して自分の家に届くかを学習しました。母はとても喜んでくれて、手紙・便箋・切手・住所録などが入っている箱に大事にとっておいてくれました。大事にしてくれることが子どもながらにもうれしかったです。また自分が書いたはがきが、郵便局を通過して消印を押されて届くことに、大人の仲間入りをしたようで高揚した気分になりました。
母は看護士をしていて、おばあちゃん子でした。祖母が留守番をしていて、兄と私とで3人が母の帰りを待っていました。とても甘えん坊だったので、おばあちゃんに話がしたいのではなく、お母さんとしたいというわがままなところがありました。おばあちゃんしかいないということに子どもながらに傷ついていました。それで巻物の半紙に母あてに書き物をしたりしていました。教科の中で国語は得意だったものですから。母親に今日会ったこととかいやだったこととかを書いていました。看護士は夜勤もあるので、母の顔が見られない日に手紙を書いて、母が夜勤明けに読んでくれる、というコミュニケーションをとっていたので、そのころから手紙をツールとして使いこなしていたようです。
中高生の頃は授業中に手紙を回しっこしていました。そのときおりがみを、気持ちを表現するツールとして意識して使い始めました。例えばA4の紙を折り込んでイチゴの形にして渡す、というようなことが流行っていまして、秘密っぽくてワクワクする気分でした。そうこうするうち転機がやってきました。
中3の受験勉強をしなければならない夏休みのことでした。叔父が研修で半年間渡英しました。それをチャンスに家族でイギリスに遊びに行くことになりました。父母は1週間程度しか休みが取れなかったので帰ってしまいました。もう14,5歳でしたから親なんかいなくても大丈夫と思っていましたが、ホームシックになってしまいました。兄に泣き言を言ってもかまってもらえず、叔母も小学生2人を抱えて、私のケアには手が回りませんでした。それで初めてのエアメールをせっせと両親に書くことで、海外でのコミュニケーションというところにも目が向くようになりました。
高校では合唱団に所属していた関係でアメリカに演奏旅行がありました。アメリカではホームステイをしました。
アメリカで驚いたのはカード文化のことです。手紙が好きだった女子としては大いに引っかかりました。アメリカでは、西友のような何の変哲もないスーパーのようなところのレジのそばに、カードコーナーがあります。その設置場所の広さはこのシュッツの喫茶室くらいあります。4レーンとか5レーンとかの陳列台にたくさんのカードが陳列してあります。まさにカードが自然に生活の中に溶け込んでいるのです。これは日本とはぜんぜん違った光景で、びっくりでした。日本だとレジ周りには乾電池などが置いてあって、そういえばラジオが電池切れしそうだな、と思い出してぱっと手を出すということなんですが、アメリカ人は、そういえば明後日おばあちゃんの誕生日だな、と思い出したらさっとカードをかごに入れるということなんです。日本だと誕生日を思い出してもバースデイカードはわざわざ買いに行くのが普通なので、つい買いそびれたりするのですが、アメリカは文化として生活に定着しています。私はこれがすごく気に入りました。
そのとき買ってきたカードは何かの機会にと思い大事にとってあります。いろんなカードがあるのですが、例えばこれは、「you are my special grand-daughter」と書いてあります。孫娘専用カードですね。ものすごく細分化されています。60歳オーバーのおじいちゃん用とか、0歳から1歳刻みでバースデイカードがあります。「43歳おめでとう」っていうカードがあるんですよ。私、本当に驚きました。輸入してほしいと子供ながらに思いました。そういった感覚で欧米ではコミュニケーションをとっているのだと、感銘しました。
現代はメールが全盛で、手紙はDM以外段々廃れつつあるようです。でも私は手紙の効用を声を大にして言いたいです。そこでメールと手紙の、独断と偏見による比較をやってみます。
メールは手紙よりビジネスライクではないかと思います。事実確認、待ち合わせ場所、日時、用件、など。これ、こうだったよね、というような。すぐ送れる受け取れる、見たいときに見られる、気軽、手軽、送る手間がない、合理的で簡潔な文章である、というのがメリット。デメリットとしては、フォーマットが同じ、定型文が入る、書式がある、感情・意思・意図を読み解く能力が必要(誤解、勘違いのおそれ)、受信したまま忘れる、建前で語られる、送受信が手軽なので返事が来ないとストレスになる、など。
手紙は、ノスタルジック・ロマンチックな感情が直筆でストレートに伝わる、読み直してから返事するので個性が出しやすい、人柄が出る、今時貴重、メールよりいいずらいことも書きやすい、手紙を出したと言うことで半分くらい気持ちは伝わっている、など。デメリットは、費用がかかる、めんどう、時間が掛かる、かったるい、確認作業が多い、重たい、捨てづらい(送受信者が仲がいいと特に)、など。
感謝の気持ちを見える形で伝えられるのが手紙。手紙をもらうことは喜び、私のために書いてくれた、手間ヒマかけてくれたということが、今の社会ではぜいたくで貴重なことだと思います。
今日は「心に届く手紙術」ということで、みなさんにお伝えしたく思います。カードと折り紙を組み合わせた方法をご披露します。
アメリカのバースデイカードには、定型的な文句がすでに印刷してありますので、それにちょっと自分なりの文章を加えればもう完成です。バースデイカード以外に、季節や祝祭日にあわせたカードがあり、いつでも気づいたときにこちらの気持ちを気軽に伝えられるようになっているのです。そういうカードが特別な雑貨屋さんとかではなく、近所のスーパーで売られています。値段も格安で、日本だと400円前後のものが200円程度で手に入ります。中が真っ白なカードだと1ドルとか、ガムのように買えます。
これは「あなたの誕生日うっかり忘れちゃった」カードです。「車の修理をしていて、忘れちゃった」とか書いてあります。こんなのもあるんですね。またお見舞いカードでも、「健康管理官」みたいな四角四面のおじさんが「気をつけないと危ないよ」というような、日本人にはちょっと理解しがたいようなブラックジョーク的なカードもあります。
私はおしゃべりですが、海外に行くとぺらぺらしゃべれないので、ちょうどいい具合になります。ホームステイ先には年齢が近い姉妹がいました。でも自分たちを、相手にしっかり表現してわかってもらうということが、なかなかできません。そういう中でも、例えば朝シャワーを浴びて戻ってくると、枕元に「昨日はよく眠れた?」というようなメモが挟んであったりして、面と向かってだとカタコトで言い切れないけど、仲良くなりたいという気持ちを伝えたいときにメモ書きというツールを使ったんです。これをもらうと、寝るときまでに何かお返しを書かなきゃと言う気持ちになります。そういうやりとりも自分の中に蓄積していきました。
姉妹の一人はローラちゃんと言いますが、思い切って文通をしませんかと話し、日本に帰ってから文通が始まりました。2度ほど日本に来てホームステイしてもらったりしました。そこまで関係を進めることができたのは手紙の力かなと思っています。英語ですぐ表現できなくても、時間をかければ手紙に書けたことが自信にもなりました。英語勉強のモチベーションにもなりました。
社会人になってからブライダルの仕事をしているとき、婚礼後のお客様に「おめでとうカード」を送って喜ばれたりとか、コピーライター時代に美容室の求人広告作成に携わった際、私が手紙が好きだと言うことを聞いて、「ぜひ、僕宛にバースディカードを書いてもらえないか?」というようなリクエストがオーナーさんからあったりしました。普段、男性だとDM以外の手紙をもらうことなど少ないのではないでしょうか。
また、結婚式でのスピーチを手紙にして友人夫妻に送るとかしました。ビデオを見ればスピーチは見られますが、原稿で残ることはうれしいことです。
現在は専業主婦で、ご近所や親類からいただきもの(手作り野菜、子供の服、土産物、など)をしたときのお礼状というのが主になっています。
最近の話では、寺子屋サロンでお話しされた佐々木さんに「読み聞かせのブックリストはないでしょうか」とお聞きしたところ、郵送してくださることになりました。私はペラ1枚くらいを予想していたのですが、30枚もの束が送られてきました。お持ちの知識の全てを与えていただいたようで感激しました。佐々木さんの読み聞かせに対するお気持ちに圧倒されるようなお手紙でした。
子供に絵本の読み聞かせをしていますが、本を買うと読者カードがついていますね。ほとんど返送しないと思いますが、「ももんちゃん」シリーズというのがあって作者の講演がプラザイーストでありました。絵本もファンでしたが、作者のファンにもなってしまいました。握手会があってサインをしてもらって、その日の内にカードに気持ちを書いて送りました。するとなんと1ヶ月後に返事が来ました。読者カードは編集部に届き、それが作者にも届けられるのですが、それに返事がくるということに驚きました。返事を冷蔵庫にとめて、1週間くらいルンルン気分で過ごしました。こんな感じの直筆カードです。
サイン会の時も丁寧な対応で一人一人に「ももんちゃん」を描いてあげていたので、30人くらいに2時間くらいかかっていたのではないでしょうか。講演会が終わってからの2時間ですから、お人柄がよくわかりますよね。お返事は7月くらいにいただいてたのですが、お礼を差し上げようと思いつつ育児にかまけて半年もほっぽり出したままでした。12月になってクリスマスカードにしてお礼を出そうと思いました。カードに折り紙を貼ることにしました。表面がツリーで裏面がウサギさんで、立てられるようにしました。そしたらまた返事が来て、それも家に飾っています。
これから「Thankyouカード」をみんなで作りますが、その前にひと作業してほしいことがあります。折り紙を配ります。ペンも好きなものをとってください。
これでマンダラ思考法をやります。おりがみを正方形の9分割にして、真ん中に「私」と書きます。その周りの四角に、日頃お世話になっている人、困っていたら助けてくれる人を8人書いてみてください。親戚でもいいですが、それよりも身近な普段おつきあいのある方がいいです。回収しませんから固有名詞で書いてください。発表はせずお持ち帰りいただきますので率直にお書き下さい。
今書いていただいた方は困ったときに助けてくれるであろうという方々ですが、同時にもしそのような方が困っているとしたら、助けてあげたい人々でもあるでしょう。つまりそこにあげられた方々は、自分にとって大切な人たちです。ここに連絡先でも書いて折り込んでおけば住所録にもなります。このごろは携帯に住所録が入っているという人も多いですが、アナログにしておくと緊急の場合助かります。
3分割3分割で袋状になりますから、「この前のジュース代お借りしてありがとう」と返す場合も、メッセージとともに小銭を折り込んでお返しできます。
この8人の内のどなたかに向けてカードを作ります。
今お配りしたのは結婚式の席札です。かなり安く手に入ります。ものもしっかりとしています。10枚で210円です。はがきとしても使えます。デパートの文房具売り場などにあります。ブライダルコーナーにも必ずあります。
はさみをお配りします。折ったところのはじから2cm位の所にはさみを2cm入れます。それを4本入れます。すると階段状になるので、寝かして歯形のようにします。これがポップアップカードの基本的仕組みです。子供さん関係でちょっとしたお誕生日カードなどをあげるとき喜ばれます。
こういうのもできます。こんな仕掛けができます。おめでとうができます。
おりがみを配ります。
(終わり)
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