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掲載日:2011年8月14日

水辺の宝石・カワセミ写真にゴミは許せない
〜カワセミの最高の一瞬を写し撮りたい〜

小杉要さん 開催日:2011年7月16日(土)
会 場:コーヒー屋シュッツ
話し手:小杉 要さん(フォトネットみなみ副会長)

目次

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1.自己紹介

南区にある会員数70名の写真クラブ「フォトネットみなみ」の副会長をしております小杉要です。新潟県燕市の出身で年齢は66歳です。現在、浦和区神明に住んでおりますが、39年前に結婚して東京から浦和の上木崎に引越ししてまいりました。その3年後に南区白幡に引越しし20年ちょっと住み、それから神明に移り住みました。

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2.写真を始めたのは・・・長野単身赴任時代

高校3年の修学旅行の時、カメラが欲しくて親父に強請ったが、当時貧しくて買って貰えませんでした。就職後、日本で最初のオートフォーカスカメラだった「ジャスピンコニカ」を購入し、時々でしたが写真を撮るようになりました。そして結婚後、妻の父よりニコンの一眼レフカメラ「ニコマート」を譲り受けました。うれしくて子供たちや愛犬の写真を撮りまくりました。

それから平成2年(1990年)の5月、六本木ヒルズにあるテレビ局の社員であった私は系列の新局開設のため長野市にあるテレビ局に出向になりました。45歳の時でした。翌年4月に開局し、今年4月には開局20周年を迎えております。それから平成14年(2002年)6月末までの12年2ヶ月の間、長野で単身赴任生活を送ることになったのです。

会社では仕事で写真を撮る機会が多くなりました。番組関連イベント、地元商店会との共催イベント、長野オリンピックの開会式や競技、オリンピックスタジアムで毎年地元新聞社とプロ野球西武戦を主催、イチローや松坂をはじめ多くの選手の写真を撮りました。

今年4月、開局20周年を記念して20年史が発刊され、私が撮った写真が多く載っており、大変うれしくなりました。仕事で撮った写真のなかに貴重なものが多く、ネガが会社所有で個人所有でないのがとても残念でなりません。

長野での生活は、休日月1〜2回妻の元に帰りましたが、帰れない週、赴任当初はゴルフやドライブ等をして過ごすことが多かったのですが、だんだん長野生活に慣れてきて、午前中、飯綱高原でゴルフをし午後、飯綱・戸隠・黒姫方面等で写真を撮って来ることが多くなりました。オリンピックが近づき高速道が開通したのに伴い、短時間で県内各地に行けるようになり、平成10年(1998年)頃から本格的に写真を撮るようになりました。県内各地の美しい風景、同じ所に春夏秋冬訪れ定点撮影をしたり、お祭り、花火なども撮りました。毎朝皆さんもご覧になっていらっしゃると思いますがNHKの連続テレビ小説「おひさま」の最後に長野県内各地の美しい風景写真が紹介されますが、行ったところが多くとてもなつかしく、また撮影に行きたいと思っています。

私は写真の撮り方を習ったことがなく独学です。滝や花火の撮り方などはカメラ雑誌や朝日新聞社発行の「新アサヒカメラ講座」で勉強し、沢山の写真展を見て研究・学習しました。また、より良い写真を撮りたくて新たにカメラ4台と数本のレンズを購入しました。数年撮影を続けているうちに少し腕も上達し、写真コンクールに応募するようになり、何度か入賞し賞金を手にしたこともあります。

長野県のアマチュアカメラマンとして結構名前が知られるようになり、平成13年(2001年)と同14年(2002年)、2年連続で個展を開催することになりました。地元の商店会で親しくお付き合いした長野駅東口商店街協同組合にご協力とご支援をいただき、平成13年(2001年)2月に、長野オリンピック3周年記念イベント第3回東口フェスティバル写真展「長野駅東口の歩み」<オリンピック開催決定〜現在まで>(作品170点)を会社のロビーと喫茶室を使用して開催し好評を博しました。

翌年2月の4周年記念イベントでも写真展開催の要望があり、県内各地北から南まで、5年間で撮りためた作品、風景写真を中心に写真展「信州の四季」(作品190点)を開催しました。2回目も大変好評を博し、開催期間中何度も足を運んで頂いたお客さんもいらっしゃいました。展示した作品4点が3回連続で労働福祉事業団長野産業保険推進センターのPR誌「信州さんぽ」の表紙を飾りました。

同年(平成14年・2002年)6月末、東京に戻ることになり、それから6年間子会社の役員をしてまいりました。

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3.カワセミとの出会い・・カワセミの虜となり、カワセミ写真に夢中

東京に戻ってからも休日には写真を撮りに歩きました。別所沼には散歩がてらよく撮りに来ました。長野時代に比べると風景写真を撮ることが少なくなり、どちらかと言うと季節季節の花々の写真を撮ることが多くなりました。

5年ほど前になると思いますが、カメラをぶらさげて近所を散歩、白幡沼の周りをぶらぶらしていたら葦にとまっている青いものを見つけました。近づくと鮮やかな青い鳥「カワセミ」です。子供の頃、水泳や魚釣りをした新潟の用水路で一度だけ見たことがあり、強い印象が胸に焼き付いています。あわててシャッターを押しましたが、すぐ飛び去りうまく撮れませんでした。

その後、休日にまた白幡沼に行ってみたら、沼のほとりの木の枝にカワセミがとまっていました。デジタル一眼、ニコンD100に200ミリのレンズでは大きくは撮れませんが、何とか撮ることが出来ました。白幡沼にカワセミのいることが分かり、休日に通うようになり、カワセミ写真の始まりです。

長野時代に使用したマニュアルの望遠レンズ300ミリと500ミリを装着して撮るようになりましたが、手ブレがひどくなかなかうまく撮れません。その後、ニコン用の500ミリオートフォーカスレンズを購入、以前よりましな写真が撮れるようになりました。

白幡沼で撮影中にカワセミ写真の先輩Sさんと出会い、笹目川にも居ると教えられ、早速、後日行ってみました。笹目川の上流から下流に向かって探しながら歩き、水辺公園橋の下流のテラス前の葦にとまっているカワセミを見つけ興奮いたしました。

それから休日には笹目川と白幡沼に通うようになり、すっかりカワセミの虜になってしまいました。カワセミ写真に夢中となり、カワセミ病に感染です。カワセミの撮影を始めたほとんどのカメラマンが罹る病気です。

新たにキャノン5Dとキャノン用の500ミリのオートフォーカスレンズを購入したのですが、ニコンD100と同様、連写が秒3コマ仕様で飛ぶカワセミはうまく撮れません。

3年半前に連写秒10コマ仕様「キャノン1DマークV」とキャノン純正の望遠レンズ通称サンニッパと言われる300ミリF2.8のレンズを購入、2倍のエクステンダー(テレコン)を付けて600ミリにして撮影しています。現在もこのカメラで撮っております。この後、作品を見て頂きますが、飛んでいるカワセミがうまくとれるようになりました。

笹目川にカワセミがいることが知れ渡り、レンズが大砲のようなカメラを持ったカメラマンがやって来るようになり、土日には10名以上集まることがあります。カワセミがいない時間は仲間と情報交換したり、写真やカメラの話しをする楽しみもあります。

カワセミ撮影は川口グリーンセンター、岩槻公園、北本自然観察園、清瀬の金山公園、戸田の後谷公園、別所沼などにも行きましたが、ここ2年ほどは笹目川が中心で時々白幡沼に行っています。

2年10ヶ月前に退職、翌日から雨の日も雪の日もほとんど毎日、カワセミ写真の撮影と観察を続けております。夜明けとともに撮影することもありますが、現在は大体毎日、BS7:30からの「おひさま」を見て8:00からお昼前までが撮影に行っている時間です。

カワセミは1年中いて1日に何回か来ますが、全く来ない日もあり、時には2〜3週間来ないこともあり、カワセミ撮影は辛抱強く待つことが肝心です。

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4.ボランティア活動・・・笹目川のゴミ拾い

昨年7月の寺子屋サロンで「笹目川の環境を守る会」の渡部会長がお話しされています。お聞きになった方は笹目川のことはよくご存知のことと思います。笹目川は武蔵浦和から戸田競艇場近くの荒川に注いでいる1級河川です。私が白幡に引っ越して来た頃は田んぼの中を流れる田舎の小川のようでした。子供たちが幼稚園や小学生の頃よくザリガニやカエル採りに連れて来たものです。

その後、私が長野に行っている間に護岸整備が施され、すっかり様変わりした川になっていました。

4年前の4月、笹目川の環境を守る会の会員になりました。毎月1回、第2土曜日に武蔵浦和の大里の起点から水辺公園橋までの1.3キロの間のゴミ拾いをするようになりました。ある事情で昨年度脱退したのですが、また今年4月に再び会員になりゴミ拾いをしております。

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4年ちょっと前にカワセミ写真撮影を始めた頃はゴミがいっぱい落ちており、きれいなカワセミの写真に何度もゴミが写り、せっかくの写真も台無しになりました。

月1回のゴミ拾いではすぐまたゴミが流れ着いたり、捨てられたりして両岸が汚くなりました。これじゃだめだと思い、2〜3ヶ月後、長靴を履きトングを持って瓶尻橋から水辺公園橋までの両岸500メートルの間のゴミ拾いを個人でやり始めました。大雨が降った後などは大きなゴミ袋で4〜5袋拾います。水に濡れたゴミが多いのでとても重いです。毎月5〜20袋ほど拾っています。

珍しいことがありました。私が川辺りのゴミを拾っていると、カワセミが川がきれいになるのがうれしいのかすぐ近くに飛んできて、チーチー鳴きながらしばらくの間ついてきたことがあります。不思議とゴミ拾いが終わると何時もどことなく飛んで来て近くの止まり木にとまりサービスしてくれます。思いがけないカワセミのプレゼントに良い写真を撮らせて貰っています。

埼京線の上り電車からご覧になった方がいらっしゃるかも知れませんが、武蔵浦和駅を過ぎロッテグラウンドがある反対側、内谷橋の100メートルほど上流の左岸斜面に「ささめ川」と草文字を書いたりして、日々愉しんでいます。夏草の勢いと競争しながら毎月何日も大汗をかきながら草を刈り文字「ささめ川」を保持しています。

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撮影は草文字の反対側の右岸でしているのですが、以前はひどい藪でとても人の歩けるような状態ではなかったので、数日かけて刈り取り、現在の広場を造りました。広場に家のベランダにあった植木、ミモザやユーカリなどを持ってきて植えました。Sさん夫婦も桐や合歓の木などを植えられて憩いの広場となりました。笹目川の環境を守る会の渡部会長が「かわせみ広場」と命名されました。自称、私が「かわせみ広場管理人」で、カワセミのいない時間などにはゴミ拾いや草刈りをしていることが多く、健康のためボランティア活動をできるだけ長く続けて行きたいと思っています。

休日になると、カワセミ広場はカメラマンや見学の人たちで賑わいます。広場にベンチがあったら良いなと思います。

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5.カワセミとは

カワセミ写真をご覧いただく前に「カワセミ」とはどんな鳥なのかご説明いたします。

カワセミ

ブッポウソウ目カワセミ科に属す。
留鳥で日本全国で見られるが、北海道では夏鳥。
体長約17cm、翼長7.5cm、頭上は暗緑色で白い鱗のような模様がある、後頸・背中・腰は青緑色に輝き、体の下面は橙黄色をしている。緑色の宝石翡翠の名は、このカワセミの色に由来するものと思われる。雄の嘴は黒いが、雌は下の嘴が赤い。足は短くて赤色をしている。つねに川、池、沼などの近くにすみ、水の上の横枝、水の中の杭や岩に止まって魚をねらう、魚を見つけると急降下して水に飛び込み、嘴で捕らえる。停空飛翔(ホバリング)をしてから飛び込む場合もある。いったん魚を飲み込むが、骨などの不消化物は小さい塊(ペリット)にして吐き出す。泣き声はチーチーと鋭い。
繁殖期の初期になると、雄は雌に魚を与える(求愛給餌)。巣は、赤土の壁面に嘴で50〜100cmの深さの横穴を掘ってつくる。4〜7個の白い卵を産み、抱卵日数は約20日、育雛日数は約25日である。寿命は2年〜2年半位。年に3回くらい抱卵する。雌雄が異なる場合もある。巣は新たに掘る。

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6.カワセミ写真(約390枚)のスライドショー

それでは、カワセミ写真をご覧ください。
本日、展示した4作品は
2010県展入選作品「しぶきをあげて」 2011県展入選作品「夕焼け空に向かって」
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2010市展入選作品「輝く宝石」 2010朝日新聞社主催「埼玉県写真サロン」
奨励賞受賞作品「飛影」
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お待たせしました。 スライドショーの開始です。

(スライドショーを見ての感想)

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(質問)

Q  白幡沼のここにいるということではなく、たまたま遭遇したということですか。

A  そうです。大砲のような望遠レンズを持っている人がいました。笹目川にもいるとの話も聞いて通うようになった。

Q  奥様があきれているのでは。

A  うちの家内も外に出ることが多い。毎日お互いに出ている。(飽きなくていいね)

Q  笹目川に来ない日は白幡沼にいるということですか。

A  笹目川にいた雄がいなくなって、白幡沼で見つけたことがあります(よくわかりましたね。いつも撮っているからだね)。しばらくしたらその雄が笹目川に餌を取りに帰ってきました。しかし羽根を怪我して魚が捕れなくなり、ほかの雄にメスを執られました。怪我は1週間くらいで治りました(結構ドラマチックだね。そういう風に見ていると飽きないですね。)

毎日行っていると他の人が撮れないような写真を撮れます。1日に500-1000枚撮ります。連写も含め。 先輩は1500-600撮るといってます。もうずーっと押しっぱなしです。こんなに撮ってどうするんだろうと思うほどです。

飛んでいるのにピント合わすのは一苦労です。(カメラ向けようとさえ思いません。あきらめています。カメラに入った試しがないです。鷲や鷹が遠くに飛んでいるのさえ入りません。) シャッタースピードは飛んでるときは1000分の1くらい。でもくらいところが多いので、250分の1何かにしていて、飛んできたときあわててシャッター押しても撮れない。

Q  後の始末が大変ですね。

A  大変です。(ダメなのを捨てるにしてもそれでも残るでしょう。カワセミだけならまだしも他もあるんでしょう。)写真はパソコンに写して、カードからは消去します。パソコンから溢れないよう外付けハードディスクも使います。500枚撮って残すのは1割くらいでしょうか。撮った写真はその日の内に整理し、残した写真はサムネイルで印刷しておきます。ファイルネームで撮った日や場所がわかるようにしておき、後で探しやすいようにしています。午前中だけ撮影し、午後は写真の整理です。(写真撮れば撮るほど大変になりますね)。

Q  ゴミ拾いはどのようにやっておられますか。

A  「笹目川の環境を守る会」で月1回、そのほかに自分1人で毎週やってます。ゴミの量は僕が拾う方が多いです。

Q  川口から来ました。カワセミの写真を撮ることで、川の環境も良くする活動も続けておられ、その徹底ぶりに感心しました。もっと多くの人に見てほしかったです。

A  川口にもグリーンセンターとか、自然公園とかカワセミが来るところはありますね。カワセミは小さな魚さえいればどこでもいます。

Q  天敵は

A  カラスや蛇など。特に蛇は親鳥まで食べてしまいます。笹目川でも2m位の大きいのがいます。

(終わり)

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