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掲載日:2013年3月31日

お題

「地域で助け合って暮らすこと〜コミュニティフロント南浦和8年の経過から〜」

山本和広さん
開催日 : 2012年10月20日
会 場 : 生活クラブ本部談話室
話し手 : 山本和広さん
(コミュニティ・フロント南浦和代表、まちづくり・都市計画コンサルタント)

目次

はじめに

私は51歳で、4人家族です。「生活・都市デザイン」という、まちづくり・都市計画を進める会社をやっております。

私が一緒に活動している人たちは65歳から75歳で、大体常時20〜30人おられます。コミュニティ・フロント(以下コミフロ)というのは居場所、いまはコミュニティカフェといわれている場所です。始めた頃はそういう言葉がありませんでした。そこで助け合って暮らすことを一緒に考えています。

なぜこういうことをやることになったかというと、1998年に介護保険が始まる前に、高齢者住宅の制度作りを行う建設省の事務局を手伝っていて、高齢者が住む施設ではなく住宅にはどんなものが必要かということで、2000年に清瀬に高齢者優良賃貸住宅を作りました。

その作業の中で約60人の住み替えた高齢者に、3〜4年にわたって寄り添うことになり、こういうことを始めました。なぜかというと、やはりソフトがないと高齢者は暮らしていけない、そのソフトをどういう風に作っていけばいいのかということを実践するため、コミフロを私が住んでいる南浦和で立ち上げました。

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老後の住まい方について

ここから一緒に考えていただきたいのですが、病気、介護、お金、孤独とか、今日おいでの方にはまだ身近でないかも知れませんが、そんな不安を感じたらどうするのかをシミュレーションしていきたいと思います。私はこういう活動をしていて、様々な高齢者の方から相談を受けます。子供が遠くに住んでいる、両親が遠くに住んでいる、近くにいるけれども老後について直視できない、子供はいないが甥、姪がいるなどの状況でどう老後を送っていくのか、という相談にのっています。

事例@の方は、自分の土地を半分にして、そこに普通の家を建てました。依然としてお子さんは九州におられます。

事例Aは、新潟の娘さんがご両親を呼んだ例です。コミフロが始まってから一緒に手伝ってもらっていますので10年になります。高齢者住宅に新潟からご両親を呼びました。この方は介護資格がある方で、ご両親が高齢者住宅に入っている間に、家を改築して、その後はご両親と一緒に住まわれていました。3年前にお父さんが亡くなり、今は車いすのお母さんと住んでいます。

事例Bの方は、家の2階がアパートだったのですが、今大家さんが下にいるようなアパートには人が入らなくて、ご自身の家を建て替えるか、施設に入居するかを検討しましたが、甥・姪が周りに一杯いて、なかなかご自身の思うようになりません。

こんな中で皆さん一度は通ってくると思いますが、現在の住まいに住み続けるのか、住み替えをするのか、明確に持っている方はいますか。どちらかに手を挙げてください。(前者はいない。後者が3人)。

この点がコミフロを作ったきっかけでもあるのですが、現在の家に住み続けようと思っていても、どうやったらそれができるのか、住まいの改修、在宅で十分な介護をしてもらえるのか。皆さん漠然としていますよね。住み替えるとしても、これはこれでいつ、どこに住み替えるのか、どう思っていますか。

参加者「自営業で賃貸に住んでいます。仕事場として購入したマンションに仕事ができなくなったら移るかなと思っています。次の段階は介護施設にと思ってもお金がすごくかかるので、何とか家で暮らせるように元気で長生きしなくてはと思います」

参加者「自分というより親の介護が問題。親を看取ったら自分たちが好きなところで暮らして、自分たちの介護についてはその次のステージなので、まだイメージが湧かない」

先に片づけなければならないことがあるのですね。

今、65〜75歳の方たちといますが、75の方も親がいます。これぐらいの方はコミフロを出たり入ったりという状況です。自分の夫と親と一緒に介護する、どっちが早いかということになっています。親は90代です。昔の人は元気で、団塊の世代の方が早く死ぬって、嘘じゃないかもしれないなと思っています。私自身もどうなるかわかりません。ただ私は、「住み慣れた地域で、自分の家で老いていく」と宣言していまして、その宣言の中でちょっとジタバタしたいな、ということで、コミフロをやってます。

今日ご参加の皆さんが主役です。あなたの5年後、10年後、15年後、20年後、このぐらいまでは想像して行動していかないと、我々の世代はつらい老後になるのではないか。将来、これから紹介する高齢者住宅に入ること、住み替えることになるかも知れません。先ほど約60世帯の高齢者の方々の住み替えにおつき合いしたといいましたが、住み替えをご自身の本心から選んだ方は本当に多くないです。自分では選べないのです。

そんな中でちょっとテクニカルな話もありますが、住み続けるのか、住み替えるのか、腹を決めなければなりません。ポイントはやっぱりお金と健康です。健康ならお金を掛けないでいられますが、健康に不安があればお金を掛けねばなりません。それではあまりにも選択肢がないじゃないかということで、地域で助け合うという選択肢を入れていかないといけないんじゃないかということです。

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具体的な老後の住まい

特別養護老人ホーム、ケアハウスは、健康でなくても比較的安い値段で入れますが、待っている人が多くて入れません。シルバーハウジングというのは公的な住宅で、コーディネートスタッフ付きの公営住宅ですが、これは制度が縮小されてきてなくなってきています。有料老人ホームというのは、どんどんできてきて安くもなってきています。そして高齢者向け優良住宅(高専賃、サービス付き高齢者住宅など)が、幅広くあります。幅広いというのは安くても入れるし、健康でなくなっても入れる、これはうたい文句なので、実は安ければ健康でなくなったら出て行かざるを得ないと思います。

別の資料では自宅に住み続ける場合、ご夫婦で約2,000万強だとしますね、夫婦で高齢者住宅に住み替えた場合は、4,000万弱くらいです。倍まで行きませんが、やはりかなりかかります。夫婦で有料老人ホームに住み替えた場合は8,000万くらい、後は組み合わせとして夫婦で一緒に入ろうとすると無理があるので、どっちか先に亡くなるまでは自宅で頑張る、一人になったら住み替えを考える。そんなことで施設や住宅を見学に行きました。

(特別養護老人ホーム)

この例は良い経営をしていて、あまりお金を掛けていません。お金を掛けてないけど、みんなが元気に暮らしています。なぜかというと1年に1回、旅行に行っているからです。年に1回ですが、結構これでお年寄りは元気に暮らせます。海外旅行も行ってます。これは4人部屋です。皆さんがここに入るのです。毎日修学旅行のように。しかし入るのは、皆さんの意志ではないのです。ここはあまり臭いは無い方ですが、消毒や汚物のにおいはやはりします。ベッドの直近にトイレがないのでしょうがないのです。介護保険で大体6〜8万です。これだったら入れそうです。個室ユニット方式だと12〜3万は下りません。

(老人保健施設)

老健を3ヶ月ごとに渡り歩くということを聞きます。良い老健は家族とよく話し合って、早く出す所です。長くおいてくれるところが良いところではないです。長くいると必要な人が入れません。終の住まいにはなりません。一時避難的に入ることはあります。この例は割と良い機械が入っていたり、アニマルセラピー、チャイルドセラピー(職員の子供)をやってます。家族のような感じ。

(ケアハウス)

これは結構いいですね。皆さんゴルフに行ったりできますね。ケアはつきますが、医療が必要になったり、高度な認知症になったりすると出なければなりません。比較的元気な人が入るところで、十分なケア付きではありません。集団生活が自分でできる人向きですね。管理は特養や老健ほど強くありません。麻雀なんかしてたり楽しそうです。要介護4、5になるといられません。(歩行困難でケアハウスを出なければならなくなった、と聞いたことがあります)。

(有料老人ホーム)

この例は比較的安い値段で入れるところです。もう一つは高級有料老人ホームです。安い方は一時金が300〜500万程度、高級な方は2,000万とかで、月に30万くらいかかります。ご夫婦とも教員だった方は、年金だけで入っておられる方もいます。私の世代では教員でも30万の年金は無理でしょう。部屋はこぎれいですが、広くはありません。部屋に入らないモノは処分しなければなりません。自分が入るとしたらどうでしょうか。ロビーにはグランドピアノがおいてあったりします。

(グループリビング)

グループホームは認知症の方が集まって、普通に近い形で生活をしますが、グループリビングは高齢者住宅です。みんなが集まって住むところです。皆さん方にとってリアリティがありそうな所です。食堂でみんなで食べます。内廊下なので下宿屋さんみたいです。食事づくりには地元のNPOが入ってくれています。配膳は入居者がします。庭で野菜作りなんかもしています。一時金は500〜800万、月は10万くらい。食費が4〜5万。いつも食べなくても良いのです。ここのコンセプトはみんなで支え合って、仲間同士で看取り合っていこう、高度医療も受けない、自然に死んでいく、ということ。一人亡くなった方がおられますが、新しい仲間が来てもお部屋のクリーニング、リフォームはしないで、家族なんだから、なるべく維持費もかからないようにしています。お風呂も一人ではいるのは不安だから、組を作って同じ時間に入ったりされています。

(高齢者向け優良住宅)

働いている方もおられます。ボランティア、NPOが支援しています。食事は自室でして、コミュニティルームに集まって何かをします。コミュニティルームを作れば一人でも暮らせる、というのが高齢者向け優良住宅です。バリアフリーのハード、見守り・緊急通報・かけつけのサービスとコミュニティルームのような場所があれば、地域の自分の家でも暮らしていけるんじゃないかと始めたのがコミフロです。

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老後をどう暮らすか

ここまで見てきて、あなたが老後をどう暮らすかについて変化はありましたか。あるいは確信したこと。入って暮らしてみたいところはありましたか。

参加者「グループリビングは良さそう。米沢のグループリビングを見てきたが、まだ勤めている男性がそこから通勤していた」

グループリビングというのは長くても2,3年前から一緒に暮らしてきた人たちが、思いだけで相手の看取りもしようかというところまで行きます。地域でずっとPTAなどやってきて30年くらい一緒にいる人たちは、老後助け合わないのか。何かきっかけがあればこの人たちも助け合えるんじゃないか。これをコミフロで実験しているのです。グループリビングは看取りまでを目指して集まって住むんですが、地域では30年も一緒に暮らしてきたんだから看取りまでできるでしょう、という話をしたら「何言ってんのよ」と怒られるんですが。

私は市街地再開発で、中心商店街だったところの老朽化した建物を壊して高層マンションにするような仕事をやってきましたが、地域ってどこも同じではないと思っています。1丁目と2丁目ではもう違います。それでも、人と機会があれば地域でグループリビングのような助け合いができるんじゃないかと思います。

参加者「私の両親は足立区の都営団地住まいですが、年取るとみなさんそこから施設に行きます。それだったら団地の中に施設があればと思います。別の所に行ったらまたそこで友達を作らなければならない。すごくそれがストレスになっていて、出たくないという人が多い」

まさにそうですね。コミュニティ単位で老後を支え合う場所があればいい。ただ若いうちは、顔見知りの人に自分の老後とか、ぼけた自分を見られるのはいやだとか声を揃えて皆さん言いますが、そんな悠長なことを言っていられる時代ではないんじゃないでしょうか。

参加者「私は65歳で京都出身です。母が京都で一人暮らしをしています。実家の前の家が、古家を壊して500uの土地にコーポラティブハウス、もしくはコレクティブハウスあるいはグループリビングにするというのです。私は要介護1の母がそこに住めればいいかなと思って、月に1,2回妹と交代しながらの遠距離介護の傍ら、この1年プロジェクト会議に参加してきました。でもなかなか入居希望者が集まりません。地域にもチラシまきとかしていますが、近所の人も殆ど来ない。また事業費をどう集めるか、税金をなるべく払わないようにするには、などで苦労しています」

有料老人ホームと高齢者住宅があります。有料老人ホ−ムにご夫婦で入るとすると、最初に3,000〜4,000万かかります。そこで旦那さんが亡くなりました、娘さんが離婚しました、お母さんは残ってますから娘さんがホームには入れるでしょうか。入れません。近所にあるライフハウスだと娘さんまでは入れます。お母さんが亡くなると娘さんは出ていかなければなりません。

これからの高齢化社会は親子の同居も考えなければなりません。先ほどの高齢者向け優良住宅では、ご夫婦で入ってきて旦那さんが亡くなると年金が減りますので、2人部屋では家賃が45uで補助があり8万くらいですが、それでも苦しい。さっきのシミュレーションでも旦那さんが亡くなってから住み替えを考えるというのがありました。

参加者「午前中、福祉について話し合いましたが、グループ討議の中で自分の回りに30〜40代の独身者がいっぱいいる、夫の兄弟のお一人様の老後の面倒は自分の子どもがみるのか、そんな心配までするという話でした。」

親子で暮らせるというのは大事。グループリビングでシニアというくくりはなくて、若い人も入っているのがいい。コレクティブハウスで単身者も母子世帯とかも入れるような形にしたいという発想です。その人たちの間で、どこまで生活を共有するのか。食をどこまで共有化するか、風呂や洗濯場所は共有にするのか。入る人たちが合意した線でスタートするしかないのでは。応募する方もどうなるかわからない段階で応募するのは不安、ある程度決まっていると、自分に合いそうだから応募しようかとなる。ゼロから作るのは大きなエネルギーがいります。

コミフロの原点は自宅です。今までのおつき合いがありますから、変えなくて良いんです。必要なサービスが出てきた時には、それが地元にあればいいし、なければみんなで作りましょうということです。

参加者「そこに無理に住まなくても良い。共有スペースだけ作れば良いということでしょうか?」

まさにそうです。なんで自分の家の前なのに移り住まなきゃいけないのか、という発想です。自分の家も利用しながら安心して人と関係しながら暮らしていく仕組みを作りたいのです。

参加者「自宅をそうすれば良いのでは?自宅のリビングを地域に開放できないか。人が出入りする方が安全、他人といる方が楽という面もある。それをお母さんも受け入れられるかも大事でしょう」

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地域支え合いの仕組み作り

実はコミフロの話というのはその話なんです。5〜10年後、親、配偶者、自分のこととして考えていかねばなりません。住み慣れた地域で、自分らしく暮らすにはどうしたらいいか、地域での仲間づくりと支え合いの仕組みをどう作るか。パワーを掛けて作るんです。一人じゃできないけど、これだけいればできる、僕はまだ51歳ですから後20年は続けられます、といってもウソにはなりません。70の方が言ったらウソになります。でも介護、介護、福祉、福祉ではなく、おしゃれで楽しい所、ゆったりできる所、こういうこともないと地域の人はついてきません。人にやらせておいてだんだん自分たちも参加する、という仕掛けが必要です。

これは「街角コンサート」。演奏者はよそから呼んできて、観客は自分たち。この中の一人がお母さんなんです。初めから「いいわ、いいわ」でこれだけいたわけではなくて、3,4年掛けて徐々に足を運んできた人たちです。誘い合って、あるいはお母さんを連れてきたりされてます。

寿司パーティーでは私が握っていたり、私の子供がいたりします。こういう所に自分の親がいると考えていけばいいのです。

美術療法士に入っていただいた作品づくりでは、自分の親も入れたいな、と思う人も出てきます。ご子息の協力がないと、ここには出て来れない人もいます。浦和美術館で発表会をしたり、玉蔵院に桜を見に行ったりします。自分で見に行けない方も多いのです。遠く離れた親がいても、近くにこういうところがあって、そこに行かせてくれれば季節を感じたり、発表の場ができたりします。旅行、製作、発表の場づくりですね。

フリーマーケットでは、地域の人たちが要らないけど売れそうなモノを持ってきてくれるんです。地域の人たちはお手伝いしたいと思われている方も大勢います。味噌づくりをやったり、関わりの機会をつくります。

これまでのお話をまとめると、これは高齢者住宅で、それにコミュニティスペースをくっつけたモノです。このスペースに在宅介護サービスやヘルパーステーションを併設すれば、介護が必要になっても暮らしていけます。

高齢者住宅に特養や診療所を併設するのは大変です。コミュニティスペースに介護の専門家が入りながら、地域の資源を使っていけるような仕組みができれば、自宅で住み続けたいと思っている周辺の人たちがここに来れば、あるいはコミュニティスペースから例えば配食サービスができたり、見守りができたり、場合によってはコミュニティカフェにこういう人たちが入ってきたりができれば、高齢者住宅がなくても安心して暮らしていける仕組みができるのでは、というのがコミフロです。

コミフロを例に、制度的に最低限何があればいいかということですが、コミフロにコーディネーターがいて、アクティビティサービスとか、生活相談サービス、緊急時対応サービス、安否確認と健康相談を付けて、個々の住宅にお住まいの方に安心サービスを提供する、それ以外の分野については地域のNPOとか介護事業者と連携して、利用者との間をつないであげたりすれば、自宅でコミフロを介して安心して暮らせる地域になるのではないかというところです。

コミフロはまだまだ行きたい時に、行きたいところに自分で行ける方たちが中心です。でも少しずつできなくなってきている方が増えて来つつあります。8年前のオープニングに関わった方で81歳の方がおられますが、外に出られなくなりました。家でも杖をついて包括の方に助けてもらっています。まだ要支援なんですが。近くに娘さんが住んでおられるので、今のところそんなにはお困りではありません。コミフロは、今まで一人でできていたことができなくなっても、例えば一人で食事をしている方がいれば、気軽にいられて一緒に食事ができる場所、おしゃべりや趣味が楽しめる場所、介護や病気のことが安心して相談できる場所、この辺を目指したいです。

先日コミフロの方々に「みなさん、一歩下がって支援してください」と言いました。自分たちが主役でここで楽しみたいのですが、次の人たちを育てなければなりません。みなさんは今度は支える立場になってください、とお願いしました。動ける人をできれば有償ボランティアでお願いする、そのための経済基盤を固めたい。経済基盤はコミュニティカフェ、配食・会食などで賄えないかと思っています。

大宮の能登亭がタイアップしてくれるということで、配食・会食を考えています。能登亭で下ごしらえをして、コミフロでランチが提供できるよう仕上げをする、という計画です。配食もしていきます。シミュレーションでは、カフェでコーヒーとお菓子を300円くらいで提供する方が、弁当より採算が合うかなと思いますが。能登亭にお願いするのは、売れ残り回避やまとめ買いで経費が削減できるからです。500円ランチをトッピング2品くらいで作ってくださいとリクエストしています。防腐剤とか入れないので、厳しい予算です。コミフロに入るのはせいぜい100円くらいです。

今来ている方たちには、ランチを食べることでコミフロを支えてくださいと言ってます。会員に2,000円分を2,200円のチケットで買ってもらうことをお願いしようかなと思っています。チケットを継続的に買ってくれる人が100人くらいになれば、ランチと喫茶で有償ボランティアのコーディネーターが雇えるかな、という計算です。それを来年あたりまでに実現を目指しています。(継続していくための仕組みですね)。

今までは家賃分が持ち出しでした。どこでもできるということをコンセプトにしているので、誰かが場所を提供してくれているとかじゃだめで、アパートの一室でやろうと思えばできるというふうにしたいのです。

もう一つは地域コーディネーターの養成講座をやろうと思ってます。生協さんなんかとも一緒にやりたいです。実は南区の「まちづくり大学」運営委員会の委員長をやっているんですが、社協さんとも相談しながらまちづくり大学の講座に入れていこうかなと思っています。

南区は訪問診療・看護してくれるクリニックが少ないです。緑区などは、ほぼそろっています。ないから作っていかなければなりませんが、なにかインセンティブを付けて働きかけることが必要です。さっきの新潟のご両親を呼んだ方は、緑区の高齢者住宅に入られたんですが、かなりいろんな資源があります。南区も社協、包括さんなどから情報をもらいながら相談し合ってます。

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Q & A

寺子屋の一コマ

Q コミフロには、どこかから補助が出ていますか

A 出ておりません。家賃は持ち出しです。改装はキッチンを付けて150万くらい。元は倉庫でした。壁は珪藻土でみんなで塗りました。

Q コミフロができる前の活動は

A 介護保険が始まる前、埼玉県では介護保険サポーター養成講座が開かれました。それに参加していた人たちでグループを作って、話し合ったのがきっかけです。私もその頃清瀬の高優賃を完成させ、一定の経験がありました。

Q 助け合いの仕組み作りで大切なこと

A もう一つ大事な点と思われるのは、地域というとやはり自治会です。草の根NPOと自治会はどっかできっちり協力できないと、継続した地域活動にはできないと私は思っています。

私は2003年に第1期の区民会議の委員になって、第3期の委員長になりました。(役員の任期は2期4年)。NPOの活動を地域に根付かせたかったのです。今は南浦和1丁目自治会の総務部長をしていますが、例えば、回覧は班単位なんですが、班編制をゴミステーション単位にして、皆さん同じ時間にゴミを捨てましょうとか言うことができるんです。そうするとそこで見守りやコミュニケーションができます。こういうのを提案すると喧喧がくがくになります。でもそこが見守りとか協力の一番の単位なので、隣とか前の家とかは、灯りがついているかどうかいつも見られます。ゴミが出ているとか出てないかでも様子がわかります。これは1年でできました。NPOだけだとこれだけの短い間にはできないでしょう。理念的なNPOと、もともと地縁の自治会がうまく融合すると、いろんなことができそうです。

Q 民生委員との連携について

A コミフロのスペースは今南浦和2丁目にありますが、1丁目に移す構想を持っています。民生委員の方に上手に助けてもらうことが必要です。民生委員は今非常に困っている方が多いです。緊急時要介護者のリストを持っていますが、持っているだけでどこにも出せない。今地震が起こっても自分しか知らない、自治会長にも出せない。認知症ペンダントをさいたま市は貸し出していますが、その情報を民生委員は持っていません。福祉課と警察が持っています。警察ではペンダントを持つ人がどのくらいの頻度で警察にお世話になっているかの情報交換をしていますが、民生委員にはその情報は知らされていません。いろんな所で自治会、民生委員も悩みを抱えています。うまく共有できると次にいけるんですけどね。

Q 認知症の方のコミフロへの参加

A 認知症になると思っている人はいますか。認知症になると楽しく暮らせるのではないかと思います。でも今の介護保険だと、要介護者とサービス提供者の間のやりとりだけで、地域の中に認知症の人は入っていけません。それでは楽しくはなりません。先ほどの美術教室の参加者の中には認知症の方がおられます。週に一度のこういう集まりがあると、こういう人たちは生活のリズムが作れます。自分の意志で行くからです。だから遠くから車で迎えに来てもらうというのはどうなのかなと思います。

自分で来てもらってるんですが、初め反対されました。何かあったらどうするの、とずいぶん言われました。ご家族には承諾はいただいてます。契約とかはしてませんが。

Q コミフロの運営について

A 今は決まった曜日にサロンなどをやる時に開いています。30人近くの人が、月に1,000円の会費を出しています。午前、午後に当番をおき、各500円当番料です。月2回当番やれば会費分が戻ってきます。1000円は払うけど、当番する人が減ってきています。奥さんが施設におられる近くの旦那さんが、週に2,3回開けてくれています。男性がいると自分の旦那を連れて来やすくなるらしいです。この前、2,3年ぶりに旦那の笑った顔を見た、という方がおられました。

Q 経済基盤や後継者を育てる方法

A 皆さんの老後と結びつけていただきたいと話してきました。人ごとではありません。一地域に一コミフロを目指しましょう。スピードを持ってサービスの仕組みを作っていかねばなりません。清瀬でいちごの会というサービスグループができていて、そこから南浦和まで来てくれればとも考えますが、遠いですよね。

浦和でやっていた太陽さんもなくなりました。(人手不足だったと聞いてます)。既存の有償ボランティアを支える仕組みを早く作らないと、せっかくあるものがなくなるのは、作るのが大変なので、なんとかなくならないようにしていかねば。行政は有償ボランティアってわからないようです。お金もらっていて何でボランティアなの、という感覚です。

参加者「有償ボランティアってあいまいなので、私たちは『たすけあい価格』と呼んでいます。自分がしてもらう立場だったら、これぐらいなら払えるという価格なんですね」

せっかくの機会なんで、人を育てる仕組みを一緒に作りたいですね。行政だとボランティアっていうと社協って決まってしまうんです。いろんな市民のグループができてきているのに。

参加者「行政と社協、ボランティアやNPOの対等な関係で協働のまちづくりをめざしています。ボランティア組織が団結して、私たちの活動がないと町はたちゆかないですよ、と理解されるように働きかけることが必要です」

そこに、自治連をまき込むことが必要です。さいたま市は100万都市で全体で何かをやる、というのは無理です。地域でやるしかないのですが、その際自治会と良い関係を作らないと何もできません。3〜5万人だったら絶対行政でできます。職員が考えて答えを出せますから。

Q 継続性について

A 同じ世代だと助け合いやすいですが、次の世代が必要なことは、誰しもわかっていて、私は次の世代の人を育ててくださいと言って、一歩引いてもらってます。しかし自分たちがやることが生きがいでもあるんです。さっき私が家賃の大部分を払っているといったのは、家賃を払ってくださいというと引いてしまうと思ったからです。しかし今は言ってます。毎日開けてくださいとも言ってます。できなければやらないでしょうが、それが生きがいになるというのも事実。支えて欲しい気持ちと、自分たちがやりたい気持ちとのバランスをうまくとらなくてはいけなくって、それは複数の人格が関わらないとできてきません。コミフロが二つに分裂したとき、思い入れが少ない人が残ったので、いろんな人が入りやすくなりました。遠くの人とか、麻雀やれればいい人とか、どんな人でもOKなんです。そうしておいて、やがてはそういう人も全体の意志を理解してくれることもあると思っています。それが継続することの勉強になっています。

コミフロでは若い人たちが時々来ます。でもどっぷり浸かってくれとは言いません。要所要所で出番を作ります。内装工事や演奏する人、美術療法士、などの人たちが入っています。若いと言っても私よりちょっと若いぐらいですが。すると支えて欲しい人たちに「ここは若い人たちが支えてくれる」という印象を与えられます。(若い子も興味があれば来ます。いつもアンテナを張ってます)。

Q 行政との連携について

A 補助金制度自体が、行政との対等意識を阻害しています。自分たちの地域の公園は自分たちで管理して、必要最小限の部分だけ行政が負担する。行政は管理しない分だけ助かるし、住民は必要な部分を自分たちで面倒みるというところを広げていった方が、行政とは、対等、協働の関係が保てるのではないかと思います。行政にも理解させやすいのかなと。

コミフロの経済的基盤が安定し、後継者が育ってくれば、「こういうことをしたい」と提案、要望した時、社協などから「そこはこちらも手薄だから一緒にやりましょう」と言われることも多くなってきます。地域福祉計画では、社協をコーディネーターとして助け合いをやっていかねばなりません。でもなかなかできなくて困っているようです。彼らのチャネルは地域社協で、地域社協が事務所を作って活性化させていかねばならないのですが、その仕組みをちょっと変えて、コミフロやコミュニティカフェが地域コーディネーターを抱えながら運営していくことができます。すごく近いところまで来てる気がします。三芳でも、川越、さいたまでも、どこかで一つできれば地域コーディネーターができるのではないかと思います。それには人です。

(終わり)

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<スタッフ>
テープおこし:谷口正
HTML制作:山野井美代
お問い合わせ:  NPO「大人の学校」
住 所:  さいたま市南区別所5-1-11
TEL/FAX:  048-866-9466
Eメール:  otonano-gakkou@cure.ocn.ne.jp

[制作] NPO(特定非営利活動法人) 大人の学校