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掲載日:2013年9月29日

お題

「電気代と電力問題について考えてみた」

石上博さん
開催日 : 2013年7月21日
会 場 : 生活クラブ本部談話室
話し手 : 石上 博さん
(越谷でソーラーシェアリングの会等の市民活動に参加)

目次

自己紹介

越谷から来ました石上です。よろしくおねがいします。 私はいまリタイアしておりまして、自分の好きなことをやっています。2011年3月の震災のときはすでにリタイアしていました。2010年は東北に、特に三陸に30日間くらい遊びに行っていました。2011年もまた遊びに行くぞと思っていた矢先の事故でした。

私は陸前高田とか気仙沼とかしょっちゅう行っていました。だから、震災は他人事のようには思えませんでした。よく行く近所の喫茶店のママさんも釜石出身、そんなことから私もなにかできないかなと、川口のボランティアとか越谷市のボランティアがあったので参加したりしていました。

特に原発とかエネルギーについてそれほど強い関心はなかったです。大学こそ理系で北海道大学をでていますが、あまり原発が危ないとか思わず、漠然とした不安があって本を読んだりもしたくらいです。今回の福島第一原発の事故を経験して、自分はずっと設備やをしていたから、こんな危険なものはない、すぐどこで起きても不思議はないと実感するようになりました。

そんなことで、もともと設備、配管だとか電気設備をずっとやっていましたが、原子力についてはそれほど深い知識はありませんでした。ただ原子力は、あくまで私が使っていたボイラーの一種なんですよね。ボイラーには電気ボイラー、灯油だけのボイラー、ガス、そういったものを扱っていました。原子力発電というのは核反応でお湯をわかして発電する、仕組みは同じようなこと。ただ灯油だけのボイラーで地震で配管が破損してもだいたい地震でボイラーへの燃料系も電磁弁で止まります。燃料タンクからの配管が破損しても、元のバルブを閉めれば何の問題もない。しかし、原子力発電は漏れたら近づけないし、放射性物質は本当に危険です。

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テレビの報道番組を通して

講座の一コマ

今回のことで、テレビの番組をけっこう録画しています。 朝の番組ではテレ朝の「モーニングバード」、TBSの「朝ズバッ」。夜は「報道ステーション」、NHKの「ニュースウオッチ9」、TBSの「ニュース23」。土曜は日本テレビの「ウェークアッププラス」、日曜はTBS「サンデーモーニング」、テレ朝「報道ステーションサンデー」、土曜日の夕方の番組でTBS「報道特集」など。

見るのもけっこうたいへんですが、自分の関心のあるところの憲法の問題やTPPのこと、原発エネルギーはしっかり見てそれ以外は飛ばします。2時間番組でもせいぜい10〜15分で見てしまいます。こういった番組を見ますと、一生懸命やっているテレビ局番組がある一方、うそばっかり流している番組もある。実際みていただいて、いい番組をつくっているところは応援して電話の一本もかけていただきたいし、そうでないところは文句の電話の一本おねがいしたいと思っています。

講座の一コマ

2011年3月以降のなかの4本をまず見ていただきます。 普通のスピードで流すと時間がたりないので、一部2倍速で流します。いちおう音は聞き取れますが早口になります。数字の部分は特に標準速で流すように心がけます。

まずは2011年と2012年の番組。2年前はどんな報道をしていたのか、去年はどうか、今年はどうかという感じで見てもらえたらいいと思います。

2011年5月の「モーニングバード」の番組です。この番組はご覧になったことありますか?朝の8時からはじまり、『そもそも総研』は木曜日にあります。これはなかなかいい番組です。残念ながらリタイアしたお父さんは見る時間があるけれど、ほとんどの人は見る時間がない。みなさんも見る時間がないのでは?これを見れば、政府だとか東京電力とかにだまされ続けることがないと思うが、残念ながらお父さんたちの多くは夜の報道ステーションさえ見る時間がないです。

みなさんにお願いしたいのは、勉強会でいろいろ勉強して少しでも多くの人に話してもらいたいこと。その次、にある程度数字を知って覚えて、それから話したほうがより説得力があると思うので、ぜひおねがいします。

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原発のコストと発電コスト

(2011.05.12「モーニングバード」「そもそも総研」、2011.05.14「ウェークアッププラス」) 講座の一コマ

経産省の資源エネルギー庁で原発だとか風力発電のコストの試算の条件がホームページに出ています。最初は原発は5円30銭でした。もしみなさんが経産省の人間で、原発のコストを安くしたいと思えば、まず原発のコストをなるべく低めに見積もる。それから発電量をなるべく高めに見積もると思います。まさしくそれをやっています。

原発のコストのなかで100万kWクラスの建築費は約4000億円位です。それを1kWhのコストにすると2円くらい。さきほど大島先生が税金はだいたい原発関係に使われ発電コストの中でその分は2円/kWhといっていました。当初の資源エネルギー庁の計算では税金が入っていない、残りの3円30銭が運転のための人件費、保守費、本社経費と試算している。それで5円30銭という計算をだしている。

大島教授の計算はあくまでも実績計算で、これから先にいくらかかるかが実は多くは省略されている。それで10円68銭ということはこの中の税金分2円を除くと、8円68銭。設備費を引くと6.68円。これが運転経費と廃炉までの一部経費。これがけっこうかかっている。使用年数は120万Kwの原子力発電所で40年という試算と50年という試算をしている。

原発の運転には、みなさんご承知のように定期点検がある。地震でとまる、1年中連続運転なら運転時間は365日24時間で8760時間。実際は65%くらいしか発電していない。経産省資源エネルギー庁は80%の稼働率での運転という非現実的な条件で試算している。稼働率が65%と80%、これでは約2割違う。たとえば10円のものが8円になる。こういったカラクリがあります。

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自然エネルギーは高いのか?

(2011.05.14日本テレビ「ウェークアッププラス」)

たとえば経産省が「風力発電とか太陽光発電が高い」という風に見せようとしたら、どういう試算の条件にするのかと話しますと・・・生涯発電量を実体以下の数値にするという方法をとります。まず、風力発電は最近は稼働率が30%近くに効率あがっているがその稼働率を20%にしている。そういうズルをしている。

それと運転年数は、風力発電の場合、原発のように放射線でぼろぼろになるわけでないので、長持ちする。それでも、20年〜25年という試算にしている。一方、運転のための経費は割り増しする。そうやって、いかにも自然エネルギーは高いという試算をしているのが現実です。

次のビデオは5月14日の「ウェークアッププラス」という番組です。ヨットで太平洋横断しようとした辛坊次郎さんがやってます。

この風力発電所の映像を見て違和感を感じませんでしたか?最初すごい音がでてきましたね。風車と離れたらその音はほとんど聞こえません。私は鹿嶋の風車の近くまで行って聴いているがそんな風切り音がしていないです。やたら大きく編集したのかなという気がします。

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グラフを見て
講座の一コマ 原子力は5円から6円、40年運転と50年運転があります。火力7円〜8円、水力8円〜13円、風力10円〜14円、地熱8円〜22円/kWh、 けっこう幅があると思いませんか?この幅はなんだと思いますか?これはやっぱり経産省の方でなるべく高い数字をみせたい、そのために非常に条件の悪いところの数字をひっぱってきてやっている。

地熱8円、風力10円、水力8円は、さっきの原子力の実体、税金入れて10円68銭に比べて安いじゃないですか。それをこのようなグラフに加工して見せられたら原子力安いなあ、と思わされる。こういうテクニックもあるなと思いました。

やたらと太陽光は高くなるように試算の基準ができている。太陽光の発電コストの数字が2000年当時と同じ数字を使っている。最近は当時の1/3以下になっています。最近のデータを基に実際に計算してみると16〜7円くらいにおさまっている。たとえば茨城県の浄水場で定格1000kWの発電施設をつくりました、これが18円くらいです。愛知県の田原(たばる)というところに大きなメガソーラーを作っていますが、これなんかも計算すると16円くらい。いまそんな状況です。

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電力不足の検証

私も今月の夏は北大卒の運動部の同期会があって、こういった話をしようと思う。きっとおやじたちはだまされっぱなしだと思う。自分の周りだとみんなだまされているので、うちの学校の連中はどうか確認しようと、楽しみにしています。半分ちかくはリタイアしていて、半分はまだ仕事しています。

7月7日、さっきは5月で今度は7月です。「そもそも総研」です。電気が足らないぞと脅かされていた頃です。東電と中電と関西電力、去年は関西電力が足らないといっていました。実はキーワードは電源開発。この分をちゃんと見積もっていないです、関西電力は。たしか2900万Kwしかしてみていない。しかし実際には電源開発は火力・水力発電所をもっている。(関西圏だけで約110万kW、中部・中国・四国・九州の分を合計すると約890万kW)、相当な量があります。それを電力会社があえて自分のとこだけの発電能力しか見積もらない。だけど電源開発というのは、電力会社に売る専門の会社ですから必ず発電したものを売る。この分を見積もってなくて、”足らない足らない”といっていたのが去年、一昨年。これはおかしい。また、いろんな企業が火力発電所を持っている、それが余っている。一時6000万Kw位ありますよ、お宝があるよなんて言っていました。

どこでだますのかというところを覚えてほしい。電力開発(Jパワー)、企業所有の発電所、都道府県所有の水力発電所こういうところでだますと覚えておいてください。

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発電コストと電力不足)

(2011.09.29「モーニングバード」「そもそも総研」

これから流す番組は2011年9月29日木曜日のテレビ朝日の「モーニングバード」です。木曜の午後には「ワイドスクランブル」があり、古賀茂明さんが出てほかの番組じゃ聴けないようなことをしゃべっています。多少パワーセーブさせられて、ここまではしゃべってもいいといわれているようにも感じます。

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よくだまされることの1つに、たとえば100万Kwの火力発電所が故障したらマイナス100万Kwになると考えますよね。ですが実際は火力発電所は10〜20万Kw位のセクションに細かくわかれていて、合計で100万kWなんです。当然一台故障してもあとの80〜90kW分は動いている、ということです。全部まとまってこわれるということは余程のケースです。だから余裕率はそんなに高くみる必要はないんじゃないかと思います。3%とか5%とかいいますが、ちょっとだまされやすいと思います。

エアコンなんかもそんな面がある。心臓部のコンプレッサーがいくつかあり、どれか1つこわれても故障の表示はでる。それでも3台のうちのあとの2台はそのまま動き続ける、ということです。同じことはボイラーでもいえます。

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関西は原発ゼロでも電気は足りた

(2012.09.06「モーニングバード」「そもそも総研」)

2012年は結局電気は足りたが、需要予測の年度2010年と比べて涼しかったのか?玉川氏の解説では2012年は同じ程度に暑かった。

ここに書いたのは2012年夏の需給検証で合計すると中西日本だけで600万Kw余ったんです。原発6基分です。当然東日本でも余っていて、東電管内では約1000万Kw余った。たとえば中西日本だけでも合計で600万Kw余ったといいますが、中国電力は需要がこうです供給力はこうです、その需要というのはピークのときです。そのピークは九州も中国も四国も北陸も全部一緒にあらわれるのかというと実はちがう。東京電力管内はたとえば8月10日、関西電力は8月3日とか、多少ずれる。それぞれのピークを合わせた需要(供給力は合計すればいい)については、たとえば関西は晴れ、九州は雨といったこともあり、勘違いしやすい。だまされやすいです。

講座の一コマ

黒板に2012年の太陽光発電の新設数を書いてみました。約380万kWです。住宅用は150万kW位で他は非住宅用です。(参考に2011年は150万kW位でした)

2011年末までの累計で530万Kwくらいになり、その後どんどん増えています。太陽光発電協会というメーカーの集まりが出荷ベースのデータを持っています。 実際に設置された発電開始したのは電力会社しかわからない、電力会社はそういったデータ出さないので、あくまで出荷ベースです。

今年の第4四半期、2013年1月から3月で170万Kwくらい、すごい勢いで増えています。この勢いでいくと2013年は日本はまた太陽光出荷額で世界一に返り咲くだろうといわれている。今までずっとドイツが圧倒的に多かった。2013年はKwでいうと中国のほうが大きいが、金額ベースでは日本の方が単価が高いので世界一になるのではないかという事です。これは民主党政権ががんばったおかげですよね。

電力の供給力の話の中に太陽光発電分の数字が入っていないことが非常に大きい。夏場は冬場にくらべて需要は高い。北海道は夏場の需要と冬場が逆転するかもしれませんが、他の地域は圧倒的に電力需要は夏場が多い。2割以上大きいです。電力事情が厳しいのは夏場の数日間のうちの4、5時間なんです。

我が家の太陽光発電は定格容量が6Kw、夏場、晴れた日の11:00〜16:00は4Kw以上発電します。約70%近く発電しています。雨の日も入れて平均すると約50%くらいです。雨の日って電気は足らなくならない、晴れた日がたりなくなる。そのときは70位貢献している。2012年の太陽光新設が約400万Kw、それから2013年の170万kW分が増えてきますから、定格容量の7掛けとしても2013年夏までには400万kW位は増加して電力供給力に貢献してくれるでしょう。だから決して電力不足は起きません。

ちなみにほかの自然エネルギー、風力発電というのが8万Kw増えています。ほんのわずかですが。2013年は昨年あれだけ10%くらい余裕はあった。今年はさらに増設している。余裕も余裕、電力会社としてはあまり節電節電といって電気の消費量が減ると、経営上きびしくなるので今年は言っていない。できたらこの辺の数字も覚えていただくといい。太陽光発電はひじょうに貢献しているはずです。電気が厳しい夏は太陽光発電は有効です。ただ1年でみると、定格容量6Kwに対して13%くらい。夜は発電しない、くもりや雨は発電力がおちる、 ただ夜は別に発電しなくてもいい。電力会社がほんとにほしいのは昼間です。われわれにとってもそうです。

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参加者の声

講座の一コマ (終わり)

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