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掲載日:2021年7月9日

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講座の記録

講座名:食と環境カレッジ2021 【全5回】
〈 SDGsとソーシャルアクション 〉
第1回「香り」が体調不良の原因に!
~ コロナにも強いせっけん生活を ~
講師:田中 輝子 さん
開催日:2021年7月3日 (土)
講座の一コマ
田中 輝子 さん 
講座の一コマ
講座の模様

生活クラブと大人の学校共催の「食と環境カレッジ2021」が開講しました!

7/3に開催した第1回目は、「香りが体調不良の原因に!~コロナにも強いせっけん生活を~」と題して、長年にわたって石けん運動をされている田中輝子さんにお話を伺いました。

180名を超える申し込みがあり、オンライン開催ということもあって、保育園での参加や複数の方が参加して拠点からご覧になった方もいました。香りの成分などによる香料の被害や化学物質過敏症が増えているようで、本講座には自分自身で経験された方も多く参加されていて、質疑もチャット機能を通して活発に行われました。

合成洗剤の問題点は、分解性が良くない、皮膚障害を起こす、動植物の生育・生息に悪影響がある、発がん補助作用、妊娠率低下、精子作用がある、アレルギー・化学物質過敏症の原因等、様々あります。

「香害」とは、柔軟仕上げ剤、消臭除菌スプレー、制汗剤、芳香剤や合成洗剤などの強い香りを伴う製品による健康被害のこと。

田中さんが担当されていた日本消費者連盟・洗剤部会の「香害110番」の事例をみると、柔軟仕上げ剤や香りつき合成洗剤、香水、除菌・消臭剤、制汗剤、アロマの順に多く、その原因は隣人からが多かったそうです。香りつき製品のにおいで具合が悪くなったことがあるかというアンケートでは9,332件の回答があり、そのなんと8割の方が具合が悪くなったことがあると回答。たくさんの方が苦しまれた経験があることがわかりました。また、香料業界使用の化学物質の約半数に有害危険性のある化学品に分類されているというのも驚きの報告でした。

臭神経は、脳みそが裸で鼻腔の中に飛び出しているような構造になっているので、においがダイレクトに脳に触れてしまうような構造になっているそうです。

洗濯ものをふっくらさせるために使われる柔軟剤が人気ですが、毒性の強い陽イオン界面活性剤が使われていて、殺菌作用で微生物に悪影響を及ぼし、魚毒性も高まっているのに水質基準がなく健康への影響も心配される。合成香料は安価に製造されるようになった結果、家庭用品の種類が増え長く残る技術(マイクロカプセル化)が多様なものに使われるようになっています。

マイクロカプセルの8割は下水に流れてしまいますが、柔軟剤キャップ1杯に1億個もあり、材料のほとんどは環境での分解が遅い樹脂が大半。環境に出たら回収不可能、極小の為、肺や血液に入る、花粉より小さく通常のマスクでは妨げないそうです。

化学物質から身を守るためにできること

  1. 合成洗剤を石けん製品 → 酢や重曹も有効に活用
  2. 塩素系漂白剤 → 酸素系漂白剤へ
  3. 衣類用防虫剤やトイレの消臭剤 → 換気、天然の草花、ハーブの花束
  4. 抗菌製品・ウェットティッシュ → 免疫力が弱まるので必要なし
  5. テフロン加工のフライパン → 鉄製のフライパンに替える
  6. 園庭用農薬 → 使用しない。早めに虫を見つけてとる、良い土づくり
  7. 虫よけスプレー、エアゾール式殺虫剤 → 長袖着用、こまめな掃除、食べ物を放置しない、布団干し

田中さんが一貫しておしゃっていたのは、子どもたちへの影響です。化学物質過敏症は個人の許容量が超えた時に発症すると言われていますが、子どもは選ぶことができません。体に害になるものに子どもたちを曝すことが無いようにするのは大人の役目です。

コロナ禍であっても、身体にも環境にも負荷のない「石けん」で洗えば、過剰過ぎる消毒も必要ないことがわかりました。私たちが声をあげることで世間の当たり前を変えていける可能性がたくさんあります。アンケートの回答でも、早速声をあげていきたいと感想を述べられた方が多くいらっしゃいました。

 

講師プロフィール
合成洗剤をやめていのちと自然を守る埼玉連絡会会員、日本消費者連盟・洗剤部会

報告 : 菊一
本講座チラシ PDF 763KB)