掲載日:2021年10月1日
講座の記録
講座名 | : | 食と環境カレッジ2021 【全5回】 〈 SDGsとソーシャルアクション 〉 第2回 子どもは大丈夫? 農薬や環境ホルモンなどの有害化学物質の健康影響 | |
講師 | : | 木村-黒田 純子 さん | |
開催日 | : | 2021年9月21日 (火) |
木村-黒田 純子 さん
講座の模様
多くの調査データを提示しながらのわかりやすい説明でした。
「人工化学物質が急増しその結果として、子どもへの健康影響があることが、長年の調査研究で明らかになった。子供の発達障害は遺伝的要因よりも環境要因の比率が高い。個性の延長という考えもあるがコミュニケーションに問題がある人が多く、本人も周囲も苦労しているケースが多い。
癌などの疾患も遺伝要因と環境要因が関わっているが、環境要因は①避ける②中身を知って選ぶ ことで変えることができる。日本が農地単位面積当たりの農薬使用大国であり、残留基準がとても緩い。データ上からも有病率と農薬使用量が比例していることからも農薬が癌などの疾患につながっていることは間違いない。
1990年に環境保全型、人には安全と宣伝されて開発されたネオニコチノイド系殺虫剤は、浸透性、残効性、神経毒性があるのが特徴で、洗っても落ちない、長期に残留し河川を汚染する、神経伝達を攪乱することが明らかになっていて、ミツバチの大量死の原因として世界中で注目された殺虫剤である。水道水からも検出されることがあり、毒性と危険性を考えても避けるべき農薬である。
また、除草剤のグリホサートには発がん性などの多様な毒性が確認されているのに、ホームセンターなどで山積販売されていて、使用料が増え続けている。グリホサートは原体であり毒性試験は原体で行われているが、ラウンドアップなどの商品名で販売されているものは、グリホサートに多種類の補助成分が加わっているため、グリホサート単体以上に毒性が高くなっている。
外国では、小麦は収穫しやすいようにプレハーベストが一般的に行われている。その結果グリホサートが残留する。学校給食パンの残留調査では14検体中12の給食パンにグリホサートが検出されている。世界ではネオニコチノイドやグリホサートの規制が強化されているにも関わらず日本は規制しないし、残留基準を緩めている。
最後に、先生から個人で直ぐにできることとして、農産物はなるべく無農薬有機農産物を選び、食品添加物もできるだけ避ける。家庭用・園芸用殺虫剤・除草剤をなるべく使わない。抗菌材、殺菌剤、消臭剤の乱用を避ける。石けんで充分に洗い流せばアルコール消毒などは不要。などアドバイスをいただきました。何より神経質にならずにできることからやることも大事。と貴重なお話をたくさんいただきました。
医学博士。環境化学物質による人体・生体影響研究が専門
報告 : 菊一
( 本講座チラシ PDF 763KB)