ロゴ

掲載日:2023年1月5日

トップ講座の記録 索引

講座の記録

講座名:食と環境カレッジ2022 【全5回】
〈 SDGsとソーシャルアクション 〉
第3回 食べ物の農薬汚染と子どもたちの健康
講師:安田 節子 さん(食政策センター・ビジョン21主宰)
開催日:2022年9月20日 (火)
講座の一コマ
安田 節子 さん
講座の一コマ

「世界は現在、毎年約230万トンもの農薬を使用、それは1950年の50倍以上にもなる。農薬使用大国日本」
「脱農薬をしなければ間に合わないところに来ている」
…というショッキングな言葉から講座がスタートしました。

そんな農薬使用大国日本で一番使用されているのが有機リン系農薬でその次にネオニコチノイド系農薬、それらは人間や環境に対して様々な悪影響を与えています。ネオニコは、胎盤関門を速やかに(!)通過するので日本人は胎児期から暴露を受けていて、その原因は飲食物と結論付けられている(2019年環境科学討論会における北海道大学 池中良徳氏)、妊娠中のお母さんが摂取するとひ孫の代まで影響する(神戸大学院 星信彦氏)とのお話に、そのようなものが野放しされている現状に戦慄を覚えます。

体内暴露の原因が飲食物であることから、どんなものを食べるかが重要になってきますが、有機の食事を摂ることで農薬を体外に排出するという事実も、日本や米国の調査でも実証されているようです。そのためにも、有機農業への転換が急務になるわけですが、世界では急速拡大している有機農業面積も、日本では0.4%で頭打ちとのこと。

それを打破するためにできることは、まずは学校給食の有機化。学校給食が地元の有機食材で作られるようになれば、子どもたちの健康を確保し、また有機生産者の経営の安定や増加、有機農業面積の拡大、環境の改善など、さまざまな好循環が生まれてきそうです。現に、パリやソウル、フランスや韓国など国をあげての有機給食の取り組みが始まっているし、日本でも千葉県のいすみ市などは2012年から地域を巻き込んだ有機の学校給食作りが始まっているのは知られてきました。

子どもたちの健康を守っていくためには、自分たちや身の回りの人たちだけが安全なものを食べたり有機の生産者を応援したりするばかりでなく、もう一歩進んで何ができるのかをひとりひとりが考える時期にきていると思いました。

報告 :山野井
本講座チラシ PDF 201KB)