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掲載日:2023年4月7日

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講座の記録

講座名:オンライン講座
耕す市民のススメ ~農的暮らしを始めるための一歩
 
講 師: 榊田 みどり さん / 農業ジャーナリスト、明治大学農学部客員教授
開催日:2023年3月18日 (土)
榊田 みどり さん

日本の農業が直面している問題と、その解決のために私たちは何ができるのか。農業ジャーナリストで、生活クラブ埼玉の組合員でもある榊田みどりさんにお話を聞いた。

榊田さんが最初に伝えたのは、日本の農業の現実だ。2020年の資料によれば、現農業者の7割以上が「後継者がいない」と回答。農家の平均年齢は67歳、20代は全体の1%しかいない。

後継者不足だけが問題ではない。国産の米や野菜は需給関係で価格が決まるため、加工食品のように原価を反映した価格上昇が見込めず赤字経営となり、それが農家の意欲を削ぎ、「農じまい」が加速しているのだ。私たちが「食べて支える」だけでは、農業は維持できず、提携産地さえ危うい状況になりつつあるという。これまでの「食べて支える」という意識をアップデートし、本当に「生産する」消費者になることが必要になるかもしれないと、榊田さん。

それでは、非農家の人たちに農業の担い手になってもらうにはどうしたらいいのか。榊田さんは、地域を基盤に「食・暮らし」「農」「地域作り」に横串を刺すことが必要な時代ではないかという。すでに地域を基盤にそのような連携が実践されている取り組みが紹介された。神奈川県秦野市ではJAと行政が連携し、単に「農にふれる」経験から「本格就農」までの間に様々な受け皿があり、「就農コース」を修了すると、10アールからの就農が可能となる。その結果15年間で就農コース修了生73人が市内で就農し、地域社会で活躍している。

秦野市以外でも、島根県の「半農半X」、長野県の「農ある暮らし」相談センター他全国各地で、多様な担い手を自治体農政の中に位置づけ、「関係人口」を呼び込む様々な取り組みがあり、実際に各地の現場で農業の担い手として地域の新たな仕事を生み出すことに貢献している人たちが出てきている。また榊田さんの取材先でも兼業・多業の若者に出会うことが増え、就農の前に「就村」という考え方も登場しているという。

報告 : 赤羽
本講座チラシ ) (PDF:393kb)