掲載日:2023年10月2日
講座の記録
講座名 | : | オンライン講座 外国人と共に暮らすってどういうこと?ー川口芝園団地の現場からー | |
講 師 | : | 岡崎 広樹 さん / 元・川口芝園団地自治会事務局長 | |
開催日 | : | 2023年9月9日 (土) |
川口市の芝園団地の住民として長年自治会事務局長を務めてこられた岡崎さんに、ご自身が取り組んでこられた様々な活動経験から、「共存」と「共生」をキーワードに、日本社会の今とこれからについてお話しを伺った。
現在市内には約4万人の外国人が住んでいるが、芝園団地では住民の半数を占める高齢者はほとんどが日本人、30代以下の世代のほとんどが外国人となっている。芝園団地は日本人住民の高齢化と地域の国際化が進んだ将来の日本の縮図と言える。
例えばゴミの分別について、外国人が来日して芝園団地に住むまでの間に、きちんと説明をされる機会が一度もないことが分かった。自治会では多言語のパンフレットを作り、生活するうえで最低限守ってほしいことについて細かい説明やイラストを多くするなど、伝わるように工夫した結果、今では日常生活でのトラブルは減って、芝園団地では「共存」(お互いに静かに暮らせる関係)ができてきたと言える。
しかし、生活習慣や文化の違い、世代差などから、両住民には共通項が少なく、両者が自然に出会い、「共生」(お互いに協力し合う関係)ができるようにはならなかった。岡崎さんは「開かれた自治会構想」を掲げ、外部の大学生による「芝園かけはしプロジェクト」を発足して交流活動を続けた結果、顔見知りから次第に関係が築かれていき、現在では自治会役員8人中5人が外国人となった。日本人と外国人のように違いが多い場合には、地域外の第三者の力を借りて、少しずつ人間関係を築いていくことが「共生」につながった。
現在の日本社会では、隣近所が入れ替わり見知らぬ隣人が増え、「共生」したい人でさえも自然と出会えない状況が生まれている。社会の土台として最低限の「共存」関係を築いた後、いきなり「共生」に進むのは難しい。隣近所の多文化共生の「鍵」として、出会いたい人が出会う「ゆるやかな共生」というステップを作り、その中で、「共生」っていいねという人が増えていき自然と「共生」に向かうことを岡崎さんは提案する。私たちは今どのような社会で暮らし、将来どのような社会を目指したいのか、一人一人が自分のこととして考える時が来ている。
報告 : 赤羽
( 本講座チラシ ) (PDF:316kb)