掲載日:2024年1月31日
講座の記録
講座名 | : | 食と環境カレッジ2023 【全5回】 ハイブリット講演会(オンライン & 会場) 第5回 (最終回) 脱農薬で体も環境もすこやかに ~ 身近な農薬の話 ~ | |
講 師 | : | 石井 清美 さん (生活クラブ埼玉理事長) 丸山 幸生 さん (沃土会) | |
開催日 | : | 2024年1月23日 (火) |
今回のカレッジでは、農薬被害に遭われた石井さんと、生活クラブ生協の農産物生産者である丸山さんとの対談形式で企画をしました。
はじめに、家の隣の畑に撒かれた農薬が原因で家族が次々に化学物質過敏症を発症してしまった石井さんよりお話がありました。現れた身体症状は個人差があるものの、育ちざかりの子どもにとっては苦しい症状で、解毒剤や点滴などで治療をされたとのこと、それを見守る家族も又つらい思いをされたことが伝わってきました。
農薬に対する過敏度は持っている遺伝子や酵素などで、症状に出る人、出ない人様々ですが、身体に取り込まれてしまっていることに変わりはありません。農薬を避けるしか方法はなく、農薬から逃げる、近づかないのが重要との具体的なお話もありました。慣行栽培のりんごは部屋に置かない、切り花も同様。ビルや電車は定期的に消毒するので注意。防虫剤の付着した服についても注意。
有機リン系農薬に加えネオニコチノイド系農薬の怖さについても話されました。水溶性で浸透性が強いので長期間効果が継続するのが特徴。石井さんのお母様は野菜ジュース由来のネオニコチノイド系農薬中毒になってしまったそうです。埼玉県でネオニコチノイド系農薬は荒川上流の一部を除くすべての地域で検出されている、現在は至るところに蔓延してしまっているので野菜料理は調理で工夫して避けるようにする、本調理の前に茹でこぼすと農薬が減る、農薬は腸へ排毒されるので腸にためない・便秘にならないよう快便を心掛けることなどのお話がありました。
丸山さんからは、沃土会の栽培方法は有機質肥料を施肥し生物由来の農薬を使用していること、昨年の夏は36℃~40℃近い毎日が続き、ちょうど根菜類の種まきの時期と重なり、発芽不良のためお盆過ぎまで種まきをやり直したこと、暑すぎて花粉が出ないため実が付かないこともあったなど農業の難しさについてのお話がありました。
生活クラブ基準で圃場管理をしているので、それ以前のやり方(慣行栽培)とは違い、体への影響が少なくなったことも語られました。隣接の圃場との境に防風林の役割をするトウモロコシを植えて、隣地からの農薬などを防ぐ工夫やニラ、ラッキョウ、バジルなどのコンパニオンプランツを植えて野菜の病気を抑制すること、虫を食べる虫を試験的に圃場に入れて防虫するなど、独自の取組の説明もありました。
野菜の「旬」が時代の流れとともに変わっていることも知って欲しい、例えばトマトは4・5・6月頃が旬であって真夏は暑すぎてトマトが弱ってしまうことなど、消費者も野菜の旬を知って食べて欲しいとのこと。たくさん出荷される時が旬、消費者として理解して食べることも大事だと思いました。
報告 :菊一
( 本講座チラシ )