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掲載日:2025年12月5日

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講座の記録

講座名:生活クラブカッレジ2025
第5回 協同組合を知ろう ~買い物で社会を変えるために~
講師:講師 三浦一浩さん(公益財団法人生協総合研究所研究員)
開催日:2025年11月7日 (金)

日頃の生活の中で、農協(農業協同組合)や生協(生活協同組合)、漁協(漁業協同組合)など色々な協同組合を利用したりしているが、実際にその仕組みを知る人は少ないのではないだろうか。

社会には、国や自治体でも営利企業でもない、非営利組織がかなりある。それはNPOのほか、協同組合、病院、労働組合、スポーツなどのサークル、町内会など。非営利の分野でも事業を行って、利益をあげることはできる。

日本にある協同組合の加入者数は延べ1億835万人で、1軒で2、3の協同組合に入っているといえるほどの数字だ。協同組合は「安心・安全なものを食べたい」「自分らしく働きたい」など共通のニーズを持った「組合員」が「出資金」を出し合って「運営」し、利用する経済組織。特に生協を考えると非営利性を重視しがちだが、事業こそが協同組合の活動で、事業と活動は車の両輪。組合員が消費材を共同購入することこそが生協では最も重要なこと。生協や協同組合が市場の中で存在することによって、企業に一定のプレッシャーをかけることができ、市場と制度に影響を与えてきた。それは同時に市民の市場への参加である。という話には小さな力でも、社会を変える力になるとわかった。

2025年は国連が「国際協同組合年」と定め、協同組合の活動を推進する年となっている。世界にある多様な協同組合は、国連からも大いに評価され期待されているということに驚く。協同組合は、組合員の共益実現だけでなく社会への貢献(公益)が注目されており、皆で私たちらしく地域や社会に関わってゆくことが求められている。また新しい人達に入ってもらい自由に協同組合を作り新しい取り組みを拡げ、協同組合というツールの可能性を拡げることが重要である。

生協は、どんな活動をしてゆくのかが大切。組合員による自発的な市民の組織であり、組合員がこうしたいということを実現できる組織でありたい。協同組合は、組織と人、資金、設備を持つ、最大の市民社会組織としての力と責任がある。市民社会の下支えや多様な市民活動の支援に協同組合の力がもっと使われるべき。生協は、市民社会組織としての立ち位置を意識して社会の中へ広く関わり、多様な人を輩出する、こうあってほしいという働きかけを社会に提言してゆく、どのような取り組みを行いどのような未来社会をめざすのか、等々組合員の主体的な参加によって議論し続け、不断にやり続けることが大事。

買い物は社会を変える。ただしゆっくりとしか変えられない。どういう物を買い続けたいか。問われるのは「より望ましい社会に変える」ことができるかだ。生協は、何を売らないかということも求めてゆかないといけない。自らもその一員である市民社会の中に多様なネットワークを作ってほしい。

今後の活動に生かしていきたいと思う。

報告 :I